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小池都知事の学歴詐称疑惑で話題。カイロ大学のホントの評価は?

エジプト

画像/AdobeStock

日本とは異なる教育水準

 とはいえ、安易に「日本の東大レベルの大学を卒業したからすごい」とは言えないと石渡氏は話す。 「文部科学省がホームページに『エジプトにおける教育の状況』として掲載した文書(注2)によると、エジプトの教育状況は日本と比べるとあまりよくないとされているようです。実際、海外では『学位製造』と呼ばれる、教育の実態がなくても学位を出すという行為はよくあること。日本の大学は文科省の許認可事業ということもあり、『学位製造』は絶対にありえないことですが、海外では頻繁に行われており、そのあたりが日本と海外では違うと考える必要があるかもしれません」 注2:エジプトにおける教育の状況とエジプト日本教育パートナーシップ (Egypt-Japan Education Partnership: EJEP) (在エジプト日本大使館 一等書記官 星野有希枝) 2017年  現在はともかくとして、海外ではある時期まではこうした「学位製造」が行われていた実態があり、ゆえに1970年代に小池都知事が本当に難関のカイロ大学で学位を取得するだけの学力があったのかということは、確かめようがないと石渡氏は指摘する。 「小池都知事がカイロ大学に留学したことは確かなのでしょう。しかし、そこでどれだけの成績を収めたかは40年以上前の話なので、今となっては証明のしようがありません。日本の大学なら卒業生の名簿を管理していると思いますが、日本より教育レベルが高いとは言えない国のことなので曖昧になっている可能性はあると思います」  さらに、石渡氏はこの騒動についてこう話す。 「本当に卒業証書があるならば出せば済む話です。それをずっと拒絶し続けていたのは一般的には理解しがたいと思われてしまっても仕方がありませんよね。『卒業しました、でも卒業証書は出しません』が通じてしまうのであれば、学歴詐称が蔓延してしまいます。  さらに、6月8日にカイロ大学が声明を出したとのことですが、大学側が声明を出したから解決とはいえず、『今はしっかり都知事の仕事をしているからいいじゃないか』ということでもありません。あくまで公職に就かれる方ということで、学歴詐称を認めてしまうと公平性が担保されないということになってしまうと思います。公職選挙法に抵触するということは、つまり『本人に悪意がなくともワイロを渡した』と同じ事であり、有権者に対する背信行為になってしまうのではないでしょうか」  カイロ大学側が声明を出した以上、「学歴詐称かどうか」という議論はできなくなった。しかし、公職である都知事としては都民の納得のいく説明をしてほしいと切に願う。 <取材・文/日刊SPA!編集部>
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