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小池都知事の学歴詐称疑惑で話題。カイロ大学のホントの評価は?

小池都知事の疑惑で話題に上がるカイロ大学

カイロ大学

カイロ大学HP画面より

 東京都知事選挙を7月5日に控え、再燃している小池百合子東京都知事の「学歴詐称疑惑」。6月8日にはカイロ大学が「小池氏が1976年に卒業したことを証明する」と声明を出し話題となった。  これまで、小池都知事が疑惑に対し明確な回答を避けてきたことや、エジプト語が話せないのではないかという検証、そして学歴詐称が明らかになれば「公職選挙法違反になる」ことが報じられてきた。  もともとエジプトという国自体が日本人にとってはベールに包まれた存在であり、「カイロ大学」と言われてもピンとこない人は多いだろう。そこで今回は大学ジャーナリストの石渡嶺司氏に「カイロ大学とはどのような大学なのか」を聞いた。
石渡嶺司氏

大学ジャーナリスト・石渡嶺司氏

カイロ大学の国際的な評価は?

 まず、カイロ大学は世界水準でどのような立ち位置にあるのだろうか。 「カイロ大学を『世界大学ランキング(注1)』で見てみると、668位にランクインしています。この668位に近い順位にランクインしている日本の大学を見てみると、岡山大学が683位にランクインしています。そのため、カイロ大学と岡山大学の偏差値が同じくらいなのではないか、と考えられなくもないのですが……。そもそも大学受験における偏差値はあくまで日本国内のものであって、厳密には他の国とレベルを比較するのは難しいと思います」(石渡氏、以下同) 注1:「RANKING WEB OF UNIVERSITIES」2020年版  そもそもこの『世界大学ランキング』は、各国で異なる教育レベルなどもごちゃまぜにしてランク付けしており、さらにはっきりした指標を設定することが難しく、どうしても無理やり感があるものなのだと言う。上位にはハーバード大学やスタンフォード大学などがランクインしており、そこに対する違和感はないものの、下位になればなるほど客観的な順位付けの根拠が難しくなってくるのだそうだ。 「そこで、アラブ圏に限ったカイロ大学の立ち位置について考えてみたいと思いますが、エジプト国内もしくはアラブ圏ではカイロ大学はトップクラスの大学、つまり日本で言うところの東大のような立ち位置だと認識されています。実際に古代エジプトの研究者が世界中から集っており、難関大学として位置づけられているのは明らかですね」

1976年当時、カイロ大学を卒業する意義とは?

 そもそも、1970年代にカイロ大学を卒業するということは、当時としてはどのような意義があったのだろうか。 「まず、カイロ大学卒業という肩書きがかなり珍しい部類だと思います。1970年代は日本から海外に留学する研究者や大学生が増えていった時期ではありますが、ほとんどは欧米への留学が中心でした。そんな中、アラブ諸国への留学というのは相当珍しいことだったはずです」  その戦略が功を奏し、小池都知事は当時から現在に至るまでその「異色の経歴」ゆえに注目されてきたことも多くあった。
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