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自粛生活の影響でオークションサイトに大量出品された自衛隊由来品

自衛隊の秘密保持は大丈夫なのか?

 さらに、秘密保全から考えて疑問を感じるものもありました。 ○無可動 実物 64式 小銃 ヒット インジケーター  これは自衛隊が64式の小銃の訓練を実際に行うための道具です。レーザー交戦装置、交戦用訓練装置(自衛隊呼称:BAttle TRaining Apparatus:BATRA、通称:バトラー)ではないかと思います。
インジケーター

即決価格5万9800円で出品されている無可動 実物 64式 小銃 ヒット インジケーター(ヤフオク!から) 

 自衛隊員は、64式小銃の性能をもつ光線銃で訓練することがあります。実弾を使わずアタリ判定がでるすぐれものですが、これには64式の小銃の性能が下敷きにあります。オークションで販売されることに情報保全上の問題はないのかと不安を感じます。ただ、サバゲーファンには大人気だと思います。なにせ、本物だそうですから。  自衛隊の廃棄品がオークションに出回るのを防ぐには、自衛隊自ら公式に厳選した払い下げ品を販売してはどうでしょうか。その売り上げ利益が自衛隊から国庫に吸い上げられるのは残念ですが、自衛隊公式販売があれば大人気はまちがいないです! 良貨は悪貨を駆逐します。実現してほしいですね。防衛省の方々にお願いしていきたいと思います。

「防衛専用品」のダダ洩れをどうしたらいい?

 警察は違法と思われるオークションを差し止めて捜査することができますが、自衛隊は「その物品が自衛隊から盗難された証拠でもない限り」この権限がありません。残念ながら現状では警察に頑張ってもらうしかないのです。 「では、どうすれば警察が捜査しやすくなるの?」と警察関係者に聞いてみました。  ヒントは映画『天使にラブ・ソングを』(1993年公開 監督/エミール・アルドリーナ)にあります(笑)。このなかでウーピー・ゴールドバーグが演じていたクラブ歌手は、ギャングの犯罪の証言者であり、裁判まで修道院に身を隠すという設定でした。これは「司法取引を含めた証人保護プログラム」です。このように「告発者の身の安全を保障した通報システム」があれば効果的ですよね。もちろん、修道院に身を隠すまでのことはありませんが……。  現在、薬物事犯については、民間会社が監視・運営する「インターネットホットラインセンター」が情報を収集していますが、これがかなり効果的なのだそうです。これの自衛隊由来品バージョンをつくれないものでしょうか?  「無可動」とされた火砲や銃器を可動銃に改造できるマニアックな人がいないとも限りませんし、自衛隊由来品が市場に出回ることは治安上も防衛上の観点からもあってはならないことです。  契約内容の拡充(予算の確保)、チェック機能の強化(人の手当て)、通報システムの構築と売買差し止めや取り締まり権限の付与(法整備)、どれも必要です。法律がなくて取り締まれないなら、法律をつくってできるようにするのが政治です。国会に頑張ってもらいたいです。 「天使の歌声」が聞こえるような対策を早急に検討してもらいたいと思います。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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