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ダイヤモンド・プリンセス号で対応。自衛隊中央病院が残した貴重なデータ

その89 自衛隊病院と医官、衛生の悲しすぎる構造

新型コロナウイルスで証明された自衛隊病院の真価

 5月25日、第1波の新型コロナウイルスが峠を越えて医療体制にも余裕ができたため、緊急事態宣言は全国で解除されました。しかし、これは新型コロナウイルスの脅威がなくなったことを意味するものではありません。患者数の増加率が現状の医療体制で対処できる範囲に収まったというだけのことであり、この病気のワクチンはいまだに存在せず、特効薬もできていません。  この新型コロナウイルスはインフルエンザと違い、感染しても症状が出ない人がかなり多い。ここが問題なのです。インフルエンザの場合は感染すると症状が出る人がほとんどです。辛いから自宅で療養しますし、周囲も咳や鼻水などでわかりますから、不用意には近づきません。だから、それ以上に拡がることはありません。  しかし、新型コロナウイルスに感染していても症状のない人は、元気に外出し次々に拡大させていくことになります。そして、高齢者や既往症のある人に感染させ、結果として死亡者が一定数出てしまうのです。  前述したように、緊急事態宣言解除の意味するところは「重症化する患者さんを受け入れる医療体制に少し余裕が出ています」ということです。再び患者数が増え、医療体制に黄色信号がともれば、第2波の緊急事態宣言が発令されるでしょう。  新型コロナウイルスの患者に対処したある医師は、「もしダイヤモンド・プリンセス号とその後の自衛隊中央病院の研究結果が開示されていなかったら、どう対処していいのかわからなかった。あれがあってよかった」と言っていました。ダイヤモンド・プリンセス号のケースでは、新型コロナウイルスという未知の病気の概要が、自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)のPCR全数検査のデータや自衛隊中央病院の胸部CT検査により、おぼろげながら日本の医療従事者に伝わっていました。自衛隊病院、防衛医大病院などがこの新型コロナウイルス対策にもたらした情報は「もっと評価されてもイイ!」と思います。

自衛隊病院の診療報酬は国庫に吸い上げられてしまう

 自衛隊病院は、少し前までは自衛官だけを診察し治療する、自衛隊のためだけの職域病院でした。「自衛官の医療費は無料」と言われるのは、自衛隊病院にかかった場合に個人負担が無料ということです。実際には自衛官は短期掛け金、長期掛け金などでお金を支払っているので、完全な無料といってしまうのは間違いですが、自衛隊病院の窓口で自衛官がお金を支払うことはありません。  そんな自衛官しかやって来なかった自衛隊病院では、長らく窓口でお金が支払われることがありませんでした。しかし、近年、制度が変わり、自衛隊病院も一般の方を診るようになりました。そうなると、窓口で診療報酬を徴収しなくてはなりません。  でも、自衛隊病院は「収益を上げてはいけない」病院です。ではどうなるかというと、窓口で受け取った診療報酬は、そのまんま国庫に吸い上げられてしまうのです。つまり、自衛隊病院は、一般の患者さんを診ても1円の収入も得られない病院なのです。それどころか、治療にかかるさまざまな処置や入院患者さんへ処方した医薬品代、医師看護師の防護具などの消耗品代は防衛予算のなかから出されています。  結果として、新型コロナウイルス対処に頑張れば頑張るほど、自衛隊病院の赤字がかさむという仕組みになっています。この報われない「働いたら負け!」という仕組みを何とかしてもらいたいものです。(その悲しい仕組みは、自衛隊病院のOBに教えていただいた動画「文化人放送局 2-2【月刊正論】」が詳しく説明しています。)
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防衛医大・自衛隊病院への研究開発費
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