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「新型コロナは集団免疫ができない」という新説と自衛隊の防護体制

その91 集団免疫と自衛隊

自衛隊の新型コロナ医療体制は最高レベル

 緊急事態宣言が解除され、リモートワークを行っていた会社も徐々に通常の出勤体制になってきました。街にも人が戻り、少しずつ日常の光景を取り戻しつつあります。ただし、ソーシャルディスタンスを守るということでお店のレジ前には立ち位置にマークが示され、三密を避けるために最少人数での短時間の買い物を勧めるアナウンスが響いています。まだ完全な日常には程遠いとはいえ、人々の表情からは明らかに警戒感がなくなり始めています。  日本における新型コロナウイルスの感染拡大は、EU諸国やアメリカなどと比較すればかなり抑えられており、現時点では封じ込めに成功したと思います。死亡者数も少なく抑えられ、第一波は乗り越えたと言っていいでしょう。  しかし油断は禁物です。これまでに自衛隊はダイヤモンドプリンセス号への対処や成田・羽田での検疫支援などで最前線の水際対応を行っていますが、その度に最大級の防護体制を取ってきました。ダイヤモンドプリンセス号のときは、自衛隊員の宿泊場所である船舶のなかまでエリア分けし、医療スタッフと患者が接触することのないよう、支援隊員が徹底したゾーニング計画を作成していました。  新型コロナの災害派遣業務で一人も感染者を出さなかったのは、自衛隊は最高レベルの感染防御態勢を基本に忠実に徹底して守ったからです。新型コロナ患者の治療にあたった自衛隊中央病院などの全国の自衛隊病院も、同様の対処を徹底しています。それが結果的に大正解だったのです! 今後も自衛隊は防護体制を緩めず徹底した体制で対処し、引き続き感染症対策のお手本となってほしいものです。  ほとんどの国では新型コロナの感染封じ込めのため、まず感染者を見つけ出し、その感染者から次の感染者を出さないように隔離と監視を行いました。都市を丸ごと封鎖する「ロックダウン」を実施した国までありました。日本はそのような厳しい方法は取りませんでしたが、感染者のクラスターをいち早く見つけ、時間を遡って感染源や濃厚接触者を洗い出す独自の方法を駆使しました。さらに、ハグの習慣がないことや日本型の靴を脱ぐ文化、マスクや手洗い消毒を徹底できる規律性の高さも相まって、既往症のある人や高齢者への感染もほかの国より抑えられました。その結果、死亡者数を低く抑え込むことに成功したのです。  一方で、日本とは真逆のやり方を採用した国がありました。スウェーデンです。スウェーデンは「特別な感染症対策は行わず、集団免疫の獲得を目指す」という方針の下、一切の封じ込め策を採りませんでした。その結果どうなったか。スウェーデンの“ノーガード戦法”は、アメリカや中国の2倍超の死亡率をもたらすという悲惨な結果となりました。

「集団免疫」の獲得を目指せばいいのか?

「日本人はすでに新型コロナに対する集団免疫を持っている」という説を唱える人もいます。本当にそうであれば安心ですが、そうでないとしたら今後の防護を怠れば第二波でひどい目に遭うことになります。  ここで、集団免疫について鍵となるかもしれない論文が「Nature Medicine」に発表されていましたので紹介したいと思います(ちなみにこの「Nature Medicine」誌は医学論文雑誌の四天王と称される一つで、もし一度でもこの雑誌に論文が掲載されると、「あの論文の先生ですね」と10年言われ続けるような権威ある雑誌です)。  この論文では「新型コロナウイルスに罹患してできる抗体はどんどん減ること、早い人では2か月で消えてしまうこと」が書かれています。つまりこれは、新型コロナウイルスの「集団免疫はできない」ということにほかならず、「何度も繰り返し罹患する可能性がある」ということになります。例え、この新型コロナに罹患してすでに中和抗体があったとしても、その値は時間と共にどんどん小さくなり、いずれ消えてしまいます。もしワクチンができたとしても、時間とともに免疫がなくなる可能性が高いため、繰り返し接種する必要があるかもしれません。要旨をわかりやすくまとめると以下のようになります。  新型コロナウイルスについては、 ①まったく無症状の感染者が20%以上いる ②症状の発生した人の抗体価が比較的高い ③抗体はつくられるが、どんどん減っていく ④抗体がわずか2か月くらいで無くなってしまう人もいる 従って、 ・何回も罹る可能性がある ・ワクチンができたとしてもインフルエンザのように何回も打たないとダメ ・この病気自体が無くなることは考えにくい ということになります。
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地道な感染対策が一番の近道
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