更新日:2020年10月12日 17:31
仕事

“コロナ氷河期”は本当にくる? 冬のボーナスなし、中小企業の倒産ラッシュ…

仮説③ 国内消費の瞬間冷凍で、スーパーインフレに突入

コロナ氷河期の衝撃

緊急事態宣言解除前の5月18日に営業再開を決めた日本橋髙島屋。だが、25日の全面解除後も客足は思うように戻っていない/写真:アフロ

 助成金や給付金が大量に注ぎ込まれ、少しは経済の巡りが良くなるかと思いきや「氷河期脱出はそう簡単ではない」と語るのは、経済ジャーナリストの磯山友幸氏だ。 「新型コロナの影響で、日本の4~6月のGDPは年率換算でマイナス21%に達すると予想されていますが、7~9月はさらに悪化する可能性が高い。報道では飲食や小売り、観光、製造業などの業績悪化が取り沙汰されていますが、他業種も決して他人事ではありません。  実は日本経済はイメージほど輸出依存ではなく、7割以上が国内消費。飲食や小売りなど生活に密着した産業がダメージを受ければ、国内消費全体が冷え込みます」  その点で、コロナ氷河期は’08年のリーマンショックとは異なると磯山氏は分析する。 「リーマンショックは金融破綻によるもので、被害を受けたのは主に大企業。そのため、国が助成金を出して雇用を守ることで、V字回復できた。  しかし、今回は飲食や小売りなど、自営業や中小企業が多く、経済基盤の弱い業界が打撃を受けている状況。その結果、総務省が発表した4月の家計調査では、2人以上の世帯の実収入は微増しているにもかかわらず、消費支出は前年同月比で11.1%も減少しました。  収入はあっても支出が減る悪循環に陥り、その影響は国内消費で成り立つ他の産業にも確実に波及していきます」  さらに、コロナ禍が世界的には収束の兆しがないことも懸念材料。 「貿易依存度がそこまで高くないとはいえ、輸出入が再開できなければ自動車産業などの日本の基幹産業がダメージを受け、大企業も冷え込む。各社が固定費削減に走り、オフィス解約なども進むはず。そうなれば、安泰と思われていた不動産業界すら傾くでしょう。秋口には危機的状況はほとんどの産業に及んでいるはずです」
コロナ氷河期の衝撃

磯山友幸氏

 この氷河期に希望はあるのか? 「治療薬やワクチンが開発されない限り、消費は縮小し続ける。そうなれば、一時はデフレが進むも、低コスト大量生産が成立しなくなり、反転してスーパーインフレが起こる可能性もあります」  そのときは、経済も銀行口座もすべてが凍りつく……。
コロナ氷河期の衝撃

今年4月の百貨店の売上高は前年同月比72.8%減。5月も65.8%減。「売り上げ減少というより“売り上げ消滅”と表現したほうが近い」(磯山氏)/出典:一般社団法人・日本百貨店協会

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今冬はボーナスカット。大リストラが到来!?
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コロナ氷河期

終わりなき凍りついた世界を生き抜くために
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