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“コロナ氷河期”は本当にくる? 冬のボーナスなし、中小企業の倒産ラッシュ…

仮説④ 今冬はボーナスカット。大リストラが到来!?

コロナ氷河期の衝撃

今年1~5月に早期・希望退職を募集した上場企業は33社と、前年同期の約2倍。赤字企業の比率も2割増しの約5割と急増している/出典:東京商工リサーチ

 会社が倒産とまでいかずとも、経済的な打撃が本格化すれば、企業は経費削減に着手せざるを得ない。前出の溝上氏は、すでに大リストラの波が押し寄せていると指摘。 「固定費で大きな割合を占める人件費。なかでも最初のターゲットとなるのが、雇用の調整弁である派遣や契約社員といった非正規労働者です。3月末には、飲食、観光業などで派遣切りが断行され、製造業では期間従業員の新規募集が凍結。厚生労働省の発表では、5月だけで解雇や雇い止めに遭った労働者は1万人以上急増し、1万5823人に上っています」  だが、非正規労働者のリストラでも体力が維持できない場合、正社員にもメスが入ることになる。 「新型コロナのダメージが顕在化していない現段階でも、夏の賞与は大規模な削減が行われています。今後、四半期決算が出てシビアな現実に直面すれば、さらに人件費削減の圧力は高まる。  リストラだけでなく非正規の契約社員や業務委託への移行を打診するケースも増えるでしょう。今年の冬はボーナスどころか正社員の立場すら危うくなります」(前川氏)  溝上氏は、リストラ対象となる年齢層も大幅に広がると予測。 「昨年も希望退職者募集が急激に増加しましたが、それは経営体質の改善を狙った黒字リストラ。この場合、早期退職金などの補償もあり、ターゲットも45歳以上の平社員。  一方、これから始まるのは抜き差しならない『赤字リストラ』です。リーマンショックでは30代の正社員にもリストラの矛先が向かいましたが、今回はそれ以上。幹部候補でなければ、20・30代の若手といえども容赦なく追い出しにかかられるでしょう」  今年の冬は、過去に類を見ないリストラの嵐が吹き荒れるのか。 【FeelWorks代表・前川孝雄氏】 青山学院大学兼任講師。「上司力」「50代からの働き方」研修で400社以上を支援。著書に『50代からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)など多数 【人事ジャーナリスト・溝上憲文氏】 月刊誌、週刊誌記者などを経て独立。経営、ビジネス、人事、雇用、賃金、年金問題を中心に執筆活動を展開。著書に『人事評価の裏ルール』(プレジデント社)など 【経済ジャーナリスト・磯山友幸氏】 日本経済新聞支局長や日経ビジネス編集委員などを経て独立。経済誌を中心に多数執筆。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)など <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/アフロ イラスト/サダ>
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コロナ氷河期

終わりなき凍りついた世界を生き抜くために
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