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タクシー運転手はうまい店を知っている? リアルな食事事情とは…

繁華街を走るタクシー

タクシー飯の理想と現実

 古びた定食屋の前にタクシーが停まっている。 「ひょっとしたら、あの店は穴場的な美味しい店かも」と思う人も多いかもしれない。現役ドライバーの筆者もそう思う。入ってみようか迷っていたときに、隣のラーメン店からタクシードライバー出てきたとかそんな落ちではないが、本当にタクシードライバーは「美味しい店」を熟知しているのだろうか? 「ねぇ、運転手さん、この辺りでおすすめの美味しい店知っている?」などよく聞かれることがあるが、正直に知らないと言うと、「タクシー運転手なのに知らないの~」と呆れ顔で言われることがある。このように「旨い飯はタクシードライバーに聞け!」と思われる人は多いかもしれない。  確かに趣味を兼ねてブログやTwitterなどのSNSで「おいしい店」をあげているタクシードライバーもいるが、タクシードライバーみんながみんなそんなにグルメでもない。お客さんに喜ばせるための「営業努力が足りないじゃないの~」とか「リサーチをするのも仕事のひとつじゃないの~」とか思われるかもしれない。ごもっともな意見であるが、皆が思い描いているタクシードライバーはひと昔前のタクシードライバーである。  今のタクシードライバーはひと昔のドライバーとは懐事情がちがうのだ。特にバブル時などは、皆がこぞってタクシーを乗り、なかなか捕まらないタクシーを停めるために1万円(チップ)をヒラヒラさせていた時代。年収1000万円のドライバーも多くいた。大袈裟にいえば、1000円を100円みたいに使う金銭感覚である。当然食事も豪華になる。当時と比べて10分の1に落ちた金銭感覚では、そう簡単にお店に入って食事などできない。お店に入っての食事などロング(長距離のお客)が出たときの自分へのご褒美としてしか考えてない。しかし、その淡い期待もロング客は終電終わった真夜中にでるのが多く、お店に入ろうにもお店自体が閉まっており泡として消えるのだ。

タクシードライバーの食事事情

 タクシードライバーは時間との勝負。限られた時間でどれだけ稼げるかに掛かっている。食事をとる暇などないというドライバーもいる。  しかし、食事の時間は、常に孤独なタクシードライバーにとって貴重な仲間との情報交換の場でもある。繁華街などで19~21時ころにタクシーが列をなして駐車している光景を目にするかもしれない。それは大抵ドライバーがグループで食事を兼ねて情報交換しているのだ。  しかし、そううかうかと情報交換してもいられなくなったのだ。夜でも交通監視員やミニパトは活動している。隙あらば、すぐに駐車違反として検挙されてしまう。免許はタクシードライバーにとっては命そのもの。駐車場に停めなければ、情報交換だけではなくゆっくりと食事もままならない。また、今や直接会わなくてもLINEのグールプなどSNSで情報交換できる。ここ最近は、コロナ禍であり世間の風潮を受けドライバー同士でもなるべく接触を避ける傾向もある。お店での食事をしなくなったのは、売上げ激減の他にも駐禁回避と3密回避も理由にあげられるのだ。
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コンビニグルメに詳しい現役ドライバー
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