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森七菜が歌う「スマイル」、原曲のニュアンスをなぎ倒す爽快感

上手に歌おうとすらしていない爽快感

 さらに森七菜がすごいのは、上手に歌おうとすらしていないことです。音楽やサブカルチャーに対する理解がある素振りすら見せようとしない。
森七菜

森七菜ファースト写真集『Peace』 が8月31日発売予定(ギャンビット)

 もし池田エライザ(25)や上白石萌音(22)が歌ったとしたら、この曲の意図する“ためらい”のような、裏返しの感覚を自分なりに表現していたでしょう。  しかし、森七菜はそのような色気を出しません。そこに記された字句の通りに、<するべきだ>と読み上げるのです。そうやって、「スマイル」に隠れていた暴力性とか強制力をあぶり出したから、彼女の歌は新しいのです。  そこそこ歌の上手い女優ブームの中、さっそうと現れた森七菜。これからも、小細工なしの歌声で、曲のど真ん中をぶち抜いていってほしいと思います。 <文/音楽批評・石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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