仕事

新事業部をめぐる不毛な派閥争いに、我が社の“半沢直樹”たちは…

大口契約ゲットで社内の評価を一変

 部署の社員たちは連日残業する中、A閥の社員だけは自分は関係ないと言わんばかりに毎日ほぼ定時で帰宅。それを咎めることはなかったが、普段の勤務態度にも問題があったため、リーダーがそのことを注意すると、「新事業部は毎晩遅くまで仕事を強要し、ブラック部署化している!」と言い出したのだ。 「ただし、A閥からは事業に直接結びつくような具体的な支援はほとんどなく、良くも悪くも影響は少なかったです。でも、これで味方が少なくなり、追い込まれたのは確かでした」 握手 だが、新事業部3年目の半年が過ぎたころ、ある大手企業との契約を取り付けることに成功。まさに起死回生となる大口の契約で、事業縮小の話は立ち消えとなった。 「ウチとはまったく付き合いのなかった企業で、契約までには1年近い時間を要しました。ここに至るまでは何度も諦めかけましたが、部署が縮小やなくなったとしても別にクビになるわけじゃないですから。そうやって最後は同僚と開き直っていました。池井戸潤さんの小説に比べたらスケールの小さな話ですけど、それでも結果を出したら両派閥が見事に手のひらを返したのは面白かった。それまでの苦労が一気に報われた気がして、部署のみんなと挙げた祝杯は格別の味でした(笑)」  現在は別部署に異動しているが、前部署での実績が評価されて課長に昇進。個人としても出世というチャンスを見事掴むことができたようだ。<取材・文/トシタカマサ>
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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