「持続化給付金100万円」従業員に不正受給させる経営者。手数料は20万円…
こうした会社ぐるみの不正により、グループ全体では数千万円の給付金が詐取された可能性があるが、さらに悪徳なことに、この会社はスタッフまでも欺いていたというから驚きだ。
「これは会社側のワナだったんです。当初の説明では『業務委託に切り替えてもこれまでと同じように働いてもらう。条件的にも同じだ』と言っていたにもかかわらず、これに応じた3人のスタッフは、その後、まったくシフトに入れられなくなりました。
社員のままクビを切ることは手続き上難しく、解雇通告から1か月分の給与は支払う必要があるし、社内規定の退職金を支払わなければならないので、自己都合で退職させ、そのままフェードアウトさせるほうが、都合がよかったのでしょう」
現在、不正受給の調査が始まっており、7月には虚偽の申請で100万円を騙し取ったとして、埼玉県の19歳の男子大学生が詐欺の疑いで逮捕された。その後も全国で持続化給付金の不正受給を巡る摘発が続き、これらの報道を見た不正受給者から、「私も不正受給をしたから返金したい」といった連絡が増えているそうだ。
不正受給が判明した場合、延滞金を加えた金額に2割を加算した額の返還などが求められるだけでなく、刑事告発されることもあるといい、厳しい刑事罰が科される可能性もある。
「“やったもん勝ち”の不正受給は許されるべきではありません。不正受給をした者、そしてそれを指南した者まで摘発されるべきです」(奥窪氏)
このほかにも、奥窪氏の最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』では、新型コロナによる混乱の渦中で不正を働く連中を取材し、その手口を明らかにしている。新型コロナ経済対策の税金はどこに消えたのか、日本国民として税金の行方に関心を持ってほしい。
<取材・文/SPA!編集部>
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売
『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』 詐欺師や反社、悪事に手を染めた一般人まで群がっていた |
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