社会人コスプレイヤーが語るコスプレ事情「出費は多いけど夢のある世界」
毎年、“コミケ”(コミックマーケット)を楽しみにしていた人も多いはずだが、今年はコロナの影響で中止となってしまった。コミケと言えば、会場を彩るコスプレイヤー。
筆者はここ数年、コミケでコスプレイヤーたちを取材してきたが、気になっていたのが普段は一般企業でOLとして働く人たち。「職場には内緒なのでメディアの撮影はご勘弁を……」と断られてしまった経験も多々。また、カメラマンが行列をなすなか、じっくりと話を聞ける機会はあまりない。
大学卒業後、事務職の仕事についてからコスプレを始めたねむ部長。もともとアニメやゲームが好きで、人気コスプレイヤー・えなこさんの大ファンだったこともあり、コスプレにはずっと興味があったという。
「『テニスの王子様』とかジャンプ作品が好きで、ミュージカルとかもよく観に行っていました。ご多分に漏れず、最近は『鬼滅の刃』にもしっかりハマって。でもコスプレへの最初の一歩をなかなか踏み出せなかったですね。最初にコスプレをしたキャラは、めちゃくちゃ課金していた『ラブライブ』のキャラでした」
欲がない性格で社会人になって特段やりたいこともなかったとはいえ、「シュレッダーにひたすら紙を入れる仕事」など、華のある仕事とは確かに言いにくい事務業務が続き、特に入社直後は何かと思うところがあったらしい。
「友だちを誘ってコミケでコスプレしました。友だちも初コスプレだったんですが、コミケは基本的に無料で参加できるし、『一回やってみよう』って。最初はもちろん、緊張もしましたね。でも普段は本当に地味なOLなのに、『ツーショット撮ってください』とか言われるし、カメラマンの方たちにたくさん撮られていると、こっちもだんだん気持ちがのってきて、すごく楽しかったんです。それから休日も友だちと一緒にコスプレするようになりました」
多くの趣味と同様、コスプレも衣装代などそれなりに費用がかかるようだが、ある程度の衣装も躊躇なく買える点は、毎月給料をもらっている社会人コスプレイヤーの強みである。
「一番お金をかけた衣装で3万円くらいですけど、けっこう買ってしまいますね。コミケの場合は開催期間中、4日間なら4日間それぞれ別の衣装を着たりするので、揃えるとそれなりの出費になりますね。私の場合、撮影会でコスプレすることもありますが、基本そっちはグラビア撮影なので、コスプレ自体が副業、お金になっている感じではないです。本当はROMや写真集を今年出そうと考えていたんですが、コロナで今年はコミケもないので結局できていなくて」
もちろん、趣味として純粋にコスプレのみを楽しむ人も多いだろうが、有名コスプレイヤーたちにはパトロンみたいなカメラマンがつくこともあるようで……。
「Twitterでフォロワー5000人以上のレベルになると、撮影や印刷代、ROMや写真集の製作費も出してくれることもあるらしいですね。最近はグラビアからコスプレに流れてくるパターンもあります。コミケは来場者数が桁違いで、知名度とかがあればコミケの物販だけで年収レベルくらい稼ぐ方もいますので、夢のある世界だと思っていますね」
そんな謎の多い社会人コスプレイヤー。今回は、ITベンチャー企業で部長を務めながら、現在はコスプレイヤー・タレントとしても活動しているねむ部長(24歳)にインタビューを敢行。 “兼業”としてのコスプレ事情をうかがった。
シュレッダー係の地味なOLがコミケで覚醒
衣装代の出費は大きいが夢のある世界
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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