仕事

入社するだけで40万円のお祝金。タクシー業界への転職はアリなのか

タクシー

写真はイメージです

深刻な高齢化のカラクリ

 最後の砦としてタクシー業界に入ってくるからには入社時の年齢もそれなりに高い。  国土交通省の調査によると、労働者の平均年齢は全産業の業界平均年齢42.4歳に対し、タクシー業界は59.4歳である。17歳も差があるのだ。  そして、65歳以上の割合が全体の27.4%も占めている。これがタクシー業界の現状であって、この高齢化がタクシー業界の常識でもある。これではタクシー業界の存続すらあやしい。  会社によっては50代でも若手の部類に入る。白髪もシワも増えた壮年が若いともてはやされては、恥ずかしいやら照れ臭いやら、でも若返った気分になるのはいいかもしれない。  冗談はさておき、洒落にならない位に高齢のドライバーも存在する。個人タクシーは個人事業主なので、もちろん定年はなく「大丈夫ですか……」と言いたくなるほどのという年齢まで運転する人もいる。  この高齢化がタクシードライバーの年収のカラクリを生み出している面がある。  平均年収300万といわれるタクシー業界。これは年金受給者が収入を合えて抑える人や、気力も体力も衰えた高齢者の収入が低い人達が多くを占めるので必然的に平均値がさがる。実際は500~700万くらい稼げる仕事なのだ。

隣の芝生は枯れていない

 普通運転免許さえあれば、誰にでもなれるタクシードライバー。誰でもできるから敬遠されることもある。プライドかなにかが許さないのだろう。しかし、誰もができると思っていることは、意外にも誰でも出来ることではない。  理不尽な客の対応、多様な道路ルート、自由な営業、縛られない日常。自由だからこそ自己管理能力が試される仕事である。「自由って難しい」とさえ思う。  ある意味、今まで経験したスキルが役に立つ。いや、そのスキルを活かさないとやっていけないかもしれない。最近では、積極的に若い人や女性を入れ業界の活性化やアプリなどの多種多様なサービスに力を入れ業界のイメージアップに躍起になっている。  月11~13日しか仕事をしなくていい。あとの時間は自分の時間である。夢に向かって資格や趣味に活かす時間も他の仕事に比べればある。家族とも向き合える時間もある。タクシードライバーは、自分の時間を大切にする今の若者にとってはうってつけの職業かもしれない。 「隣の芝生は枯れている」と見えていても、実際は地中にしっかりとした根を張っていたりもする。紹介金制度があるうちに一度タクシー業界を覗いてみるのもいいかもしれない。<文/二階堂運人>
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」
1
2
おすすめ記事