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熊本豪雨で濁流に流された「大切なカバン」を探し出した自衛隊の話

ホイスト救助時の荷物

 ホイストによる吊り下げを経験すればわかると思いますが、ものすごい力で上に引き上げられます。さらに、空中に釣り上げられるわけですから、保護具にしめつけられて両手が動かしにくい状態になります。被災者は貴重品を手荷物として持っていますが、ウエストポーチ、ヒップバッグやタスキ掛けのボディバッグ等ならともかく、手を使って保持しなければならないカバンや大きなバックパックではかなり難しいと想像できます。  非常用持ち出し袋を保管している方もたくさんいらっしゃると思いますが、万が一、ヘリで脱出しなくてはならない緊急時用に、なるべく小さいサイズの持ち出しアイテムを決めて体に密着できるバックを用意することも大事です。  自衛隊は、ヘリが近づけない孤立した集落に50kg近い荷物を背負って山を越え水や食料などの物資を運び、その帰りには医療が必要なお年寄りを背負って山を下りるということもしています。レンジャー隊員は飲まず食わずで山中を歩く厳しい訓練をしていますが、そのレンジャー隊員でも1日対処すると消耗が激しく動けなくなるほどの任務だったと聞きます。 匿名の手紙 一人でも多くの人を救うためにと身を削って任務を遂行してくれる自衛隊員。その負担を少しでも減らすために、私たちにもできることはあるか、あるとしたら何か? を考えて、常日頃から災害に備えたいと思います。  文字通り「命を懸け、身を削って国民を助けてくれる」そんな自衛隊員が報われるような社会であってほしいなと思います。この災害のエピソードで自衛隊を好きになってくれる人がさらに増えてほしいと願っています。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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