お金

多摩川で金を採掘。時給にするといくら儲かる?

黄金に輝く金粒が顔を出す

パンニング

パンニングと呼ばれる採掘方法は、金が砂や他の鉱物と比べて重いことを利用した最も古典的な採掘方法。金は重いので、ゆすることで下に溜まっていくのである

 スコップで砂利をすくい取り、パンを山盛りにする。トロ場まで運び、パンを水中に沈めて静かにゆする。すると、比重の軽い砂利は浮き上がり、比重の重い砂金はパンの底に沈む。要するに液状化現象を起こすわけである。浮いてきた砂礫を捨て去り、再びゆする。これを幾度か繰り返すと、パンには細かな砂利が残る。これをパンに刻まれた段差を使って、うまく流し落としていくと、黒い細かな粒が残る。これが砂鉄である。 「砂金があるところには、必ず砂鉄が出る」というのは定説である。この砂鉄をパンを回しながら注意深く流していく……おお。あった! 黄金に輝く金粒が顔を出したのである。この瞬間こそが砂金掘りの醍醐味である。パンに残った砂金は、よく乾燥させた指先にくっつけ、水を汲み入れたフィルムケースに落として保管するとよい。
砂金

小指の爪先ほどの小さな砂金が見事に採れた。塵も積もれば……

 こうして半日作業した成果は、20粒ほどの細かな金粒であった。重量にすると0.05g程度だろうか。敢えて金額にすれば350円。時給換算すれば100円にも満たない。金価格が急上昇している昨今でも、この程度である。

砂金掘りは違法行為?

 ここで読者は本質的な疑問を持たれるかもしれない。「砂金って、勝手に掘っていいのか?」ということだ。まさにご指摘の通りである。砂金採取には法律上、いくつか注意すべき点があるのだ。  まず、管轄する都道府県の森林管理署に入林届を提出する必要があること。そして鉱業法第七条により「いかなる鉱物資源も鉱業権がなければ採取してはならない」ことになっているため、砂金掘りをする際には厳密には鉱業権を取得する必要があるのだ。  社会通念上、趣味の範囲で採取する程度なら容認される……かもしれないが、鉱業権ナシで砂金を採取することは違法行為であることを念頭に置いておこう。また採取した砂金を売買する、イベント化して金銭を徴収する、機械などを使用して大規模に採掘することなどは、間違ってもしないようにしたい。
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時給はたったの100円だけど……
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(なかやま・しげお)ノンフィクションライター。北海道出身。上智大学文学部卒。主な著書「ハビビな人々」(文藝春秋)、「笑って! 古民家再生」(山と渓谷社)、「田舎暮らし始めました」(LINE文庫)など。「渓流」(つり人社)にて砂金掘りの記事を、「ノースアングラーズ」(つり人社)にて「ヒグマ110番」を連載中

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