更新日:2020年10月06日 17:24
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コロナ感染で窮地!トランプ大統領、逆転勝利狙う最後の“秘策”とは?/町山智浩

――ロイター通信は10月1日、討論会後の世論調査でバイデン候補の支持率がトランプ大統領より9ポイントリードと報じた。大統領のコロナ感染後の各社調査では差はさらに広がっている。だが前回の大統領選は、事前の世論調査でリードしていたヒラリー・クリントン候補は敗れた。 町山:ヒラリー候補の敗因は、民主党の代表選を争ったサンダース候補に代表される左派を切り捨ててしまった点にある。最後まで民主党内がまとまらず、サンダース候補の支持者たちは投票所に足を運ばなかった。 だから、民主党は同じ轍を踏まないように、今回は打倒トランプを最優先にサンダース候補も途中で大統領選から撤退。経済再生と環境問題の解決を同時に目指す「グリーン・ニューディール政策(GND)」を掲げるオカシオ・コルテス下院議員らとともにバイデン支持に回った。 バイデン候補は中道派のため、BLM運動で問題となった警察の解体・再編成は望んでいないし、GNDにも反対している。それでも反トランプで大同団結した。バイデン自身も言っているように、今回は「トランプにこれ以上米国を任せるかどうかの選挙」。 討論会でトランプ大統領は、イラク戦争に従軍し、5年前に病死したバイデン氏の長男を揶揄したり、白人至上主義団体のプラウドボーイズを容認するような発言をしたりで、軍関係者や共和党内でもトランプ大統領に対して反発する声は大きい。 つまり、今回の戦いは2大政党を超えた親トランプ対反トランプの構図になる。

選挙に負けてもトランプは負けない

――トランプ大統領は選挙後の混乱を見据えてか、郵便投票が不正の温床になっていると主張している。仮に敗退しても政権移譲に応じない可能性はあるのか。 町山:トランプは「(私が負けたときは)不正が行われたときだ」と公言。大統領選後の訴訟まで想定して、9月18日に死去したリベラル派のルース・ギンズバーグ連邦最高裁判事の後任に、保守派のエイミー・バレット氏を指名している。 9月30日にはSNSで選挙の不正監視を口実に「Army for Trump(トランプの軍隊)」への参加も呼びかけているが、これらは事実上の選挙妨害の煽動で、トランプを支持する極右団体が銃を携えて、全米各地の投票所でピケを張るような事態も予想される。選挙の結果次第では大混乱に陥るかもしれない。 ただ、こうした事態を招かないオプションもないことはない。コロナ感染後に政策を180度転換した英国のジョンソン首相のように、トランプ大統領も回復したら、自らの政策や方針を変えるかもしれないからです。 =====  大統領のコロナ感染は誰も予想しなかったオクトーバー・サプライズとなった。大統領選の本番まで4週間、さらなるサプライズはあるのだろうか?
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