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エディ・ヴァン・ヘイレン追悼。最強ギターだけじゃない曲作り名人としての名作5選

 10月6日に咽頭がんのために亡くなった、アメリカのロックバンド「ヴァン・ヘイレン」のギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレン(享年65)。追悼とともに、生前の功績を称える声が止みません。
ヴァン・ヘイレン

ヴァン・ヘイレン『Live ’92』

 B’zの松本孝弘(59)は「彼の素晴らしいギタープレイ、楽曲に感動し、多くのことを学ばせていただきました」と死を悼み、クイーンのブライアン・メイ(73)に至っては、「音楽史上でおそらく最も独創的でまばゆいロックギタリストだ」とまで語り、賛辞を惜しみませんでした。他にも、ロックバンド「くるり」の岸田繁(44)が「笑顔が素敵な最強のヒーロー」とツイートしたように、愛すべきアイコン的な存在でした。  そんなエディといえば、ギタープレイに注目が集まりがちですが、同じぐらいにソングライターとしての才能も無視できません。日本でもおなじみの「Jump」や、イギリスのロックバンド「The Kinks」の「You Really Got Me」のカバーなどからもわかるように、卓越したポップセンスでも楽しませてくれました。  というわけで、ここからはソングライター、エディ・ヴァン・ヘイレンの魅力が伝わる曲をいくつかご紹介したいと思います。

エディ・ヴァン・ヘイレン 2012年4月、 the BankAtlantic Center (c) Michael Bush

※動画は公式およびヴァン・ヘイレン-トピック(Warner RecordsからYouTubeに提供)より

①「Panama」

(1984年 アルバム『1984』収録 全米シングルチャート最高13位)  ヴァン・ヘイレンというバンドの個性が最もよく表われた曲なのではないでしょうか。深刻さや生真面目さなど皆無の、あっけらかんとした明るさがとことん気持ちいい。ボーカルのデイヴィッド・リー・ロス(65)のエンターテイナーぶりと、荒ぶる演奏が奇跡的にマッチした傑作です。  爽やかなイントロに対して、ラフでブルージーなメインパートを持ってくるあたりに、洒脱さがうかがえます。細かいことはさておき、“ぱーなまー! ぱーなっはー!”とシャウトしたくなる1曲ですね。

②「Why Can’t This Be Love」

(1986年 アルバム『5150』収録 全米シングルチャート最高3位)  個人的に、ヴァン・ヘイレンの中で一番好きな1曲。2代目ボーカリスト、サミー・ヘイガー(72)のハイトーンと細かなノリの良さがうまい具合に活かされていて、ポップな中にもファンキーなスパイスが効いたユニークな仕上がりになっています。  キーボードの音色のチョイス、繰り返しのフレーズ。ヴァン・ヘイレンって意外とオシャレじゃんと気付かされる曲でもありました。
Van Halen: Easy Guitar With Riffs and Solos

『Van Halen: Easy Guitar With Riffs and Solos』ギター教則本

③「Right Now」

(1992年 アルバム『For Unlawful Carnal Knowledge』収録 全米シングルチャート最高55位)  マジメサイドのヴァン・ヘイレンを代表する1曲。キャッチーなタイトルから、多くのアメリカの政治家がキャンペーンソングに使用してきました。スポーツイベントで聞いたことがある人もいるのでは?  この曲でも、エディの重心はギターよりキーボード。アメリカ現代音楽の作曲家、フィリップ・グラス(83)を彷彿とさせるイントロはインパクト抜群。明るさや破壊力だけでなく、着実な力強さを感じさせる、新たな表現を手にした曲でもありました。
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「プリティ・ウーマン」のカバーも
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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