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「失業と孤独がアルコール依存症の扉に」医師が警鐘

メールやSNSではなく、電話で生の声を聞く

 現在はコロナ禍である。外出自粛の要請やリモートワークに伴い、誰もが自宅で過ごす時間が増えている。そんな環境で宮沢さんをはじめ、「飲酒量が増えた」という人が増加しているとも聞く。実際、専門機関を受診する人は増えているのだろうか。 「コロナ禍の社会ではソーシャルディスタンスが新しい常識となりました。人と人との間に距離が生まれ、(絆を求める私たちは)知らず知らずのうちにコロナの不安と孤独感のなかにどっぷりと浸かった状態となっています。もはやお酒に頼るか逃げるしかない状況なわけで、抑うつ的になり飲酒量が増えたという方の相談は8月以降、次第に増えてきているというのが実情です」  では、私たちはどのように対策すればいいのか。 「自宅にこもって孤立しないことです。最低1日1時間程度は外の空気を吸いに外出してください。また職場の同僚や友人の生の声を聞くのも孤立感の予防には効果があります。この場合、気をつけて欲しいのは、メールやSNSでは生のコミュニケーションにはなりにくいということ。明朝体文字によるコミュニケーションでは人の温もりや絆は伝わりにくいものです。電話で友人の生の声を聞くようにしてください」

専門機関受診の目安「こんな人は要注意」

 宮沢さんは身を持ち崩してからようやく医療機関を受診したが、自分自身では気づきにくいという側面もある。信田氏は、現在の生活やライフスタイルで「こんな人は要注意」だと言う。 「生活の中で逃げ場をあまり持っていない人は、アルコールに依存しやすいとも言えます。たとえば、仕事人間で趣味がない、極端に友人が少ない、人に良く見られたいという思いが強く、誰かに相談するのが苦手で、ストレスを自分の内にためこみやすい人。また、ストレスがたまるとやけ食いしたり、ギャンブルやゲームの課金などにはまりやすい人なども要注意かもしれません。  お酒を飲むことで体調が悪いという自覚が持てなくなっている場合や、日中から何の抵抗感もなくお酒を飲んでいる場合、またお酒の量を過少申告したり、飲酒しているという事実を隠そうとする場合は、アルコール依存症になりかけている可能性があります。専門機関を受診するようにしてください」 <取材・文/吉沢さりぃ(前半・女性エピソード)、藤井厚年(後半・医療機関)>
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
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