吉野秀氏が分析する「いい言い訳は、このようにするべし!」

吉野秀氏が分析する
「いい言い訳は、このようにするべし!」

◆言い訳の多くは、自分の都合をただ押し付けているだけ


 ここまで怒りを通り越して、思わず笑ってしまうような言い訳を紹介してきたが、交渉術やクレーム対応に詳しい経営コンサルタントの吉野秀氏は、いい言い訳の困難さをこう指摘する。

「言い訳ほど高等技術はありません。言い訳とはいえ会話の技術。言い訳そのものの前に、まず他人と喋ることに慣れなくては。実は言葉を使って喋るということは、体を使った肉体運動。ですから”言語の反射神経”を鍛えて慣れさせることで、脳で考えなくても状況に適した言い訳が出てくるようになる。つまりアスリートの反復訓練のように、いちいち考えなくてもいい言い訳が口をついて出るように、体に覚え込ませるのです」

 いい言い訳を習得するのは、かなり大変そうだが、「例えばよく耳にする『ちょっとバタバタしてて……』は、自分の都合を一方的に押し付けているだけで、言い訳になっていません。単に自己中心的で、保身のためだけの言葉になっている。いい言い訳とは、一方通行にならずに相手と対話ができていること。また考え抜いた言い訳は、対話の中でTPOが合ってなかったら使えません。正直、言い訳はその場での一発勝負。だから慣れが必要なんです」

 しかし、いい言い訳は絶大な効果をもたらすという。

「そもそも言い訳とは、その場を切り抜けるためのものです。いい言い訳とは相手に、理解→ 納得→合意というプロセスを辿らせます。つまり最終的に合意しているので、相手は怒ることもない。言い訳する側には、当然、失敗や落ち度があったはずですが、相手が怒ってないのでこちらは謝る必要もなく(笑)、その場で事態は収拾します。これこそが、言い訳の最大のメリットなんです」

 最近では、メールを用いた言い訳や謝罪も多いと聞くが、

「同時に対話できず、相手の顔も見えないので、齟齬が生まれやすい。お勧めできませんね」言い訳に精通する吉野氏も、実際に呆れるような言い訳の”被害”に遭っているようだ。

「1600字の原稿を頼んだんですが、締め切りを過ぎても音沙汰もない……。メールしたら、言い訳を2800字も綴った長文の返信がきました。そんなに言い訳を書き連ねるなら、原稿を書けばいいのに(苦笑)」

よしのすぐる
’63年生まれ。経営コンサルタント。ビジネス書作家。『言い訳の天才』(すばる舎)上梓を機に’06年、『笑っていいとも!』に”言い訳番長”としてレギュラー出演。著書多数あり

取材・文/水越恵理子 齊藤武宏 港乃ヨーコ 中尾巴 樋口淳(本誌)
アンケート調査/メディアパーク

― 爆笑[あり得ない言い訳]大賞【9】 ―




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