好きなことはいくらでも喋れます
――色々と活動している中で今、いちばんしっくりくるものは何ですか?……書いたりとか撮ったりとか演じたりとかの中で。
小川:そうですね……今、実はちょっと書くのが楽しくて。他のものも楽しいは楽しいんですけど、自粛期間をきっかけにドラマ撮影が1回止まった期間があって、その時にけっこう書く仕事が増えたんです、何故か。ちょうどタイミングが良くて、お芝居がストップしている中で淡々と書くことをやっていたらすごく楽しくて。今は、もうちょっと出来たらいいのかなって……いちばん思っているのは、そこかもしれないですね。
――好きな作家さんやエッセイストはいますか?
小川:エッセイだと、やっぱり、さくらももこさんですかね。面白いのに何か刺さるっていうのが好きですね。小説は、ここ最近では、江国香織さんの作品を読んでいました。綿矢りささんとかも好きですし、その辺ですかね。
――映画『ビューティフルドリーマー』制作プロジェクトのきっかけにもなっている、ATG(日本アート・シアター・ギルド)系の(映画)作品もご覧になられてる?
小川:ATGの作品はたくさん見ているんですけど、今までATGという認識で観ていなくて。観ていた作品が後々ATGだったと知って、これもATG!あれもATG!みたいな。それを知ってから観てみると、確かに同じ流れを汲んでいるような感じがするなということに、後から気づきました。
――色々な方向にいけるから、うらやましいなと思うんですけど……。
小川:そのぶん、それぞれ時間はかかるのかな……って思いますね。
――バラエティは今後も、機会があれば?
小川:機会があれば全然やりたいですね。でも基本的には、やっぱり事務所も女優の事務所だと思うので(笑)。そんなに今のところはないですけど。もちろん話がきたらやりたいなっていうのはあります。
――期待しています!フリートークは、得意な方ですか?
小川:え?!フリートークは、全然得意ではないですよ。
――好きなものやハマっているものを語る時には、ものすごい熱量を発揮するなっていう気がしているんですけど(笑)
小川:そうですね(笑)。そのとおりで、ホント好きなことはいくらでも喋れるんですけど、バラエティをキチンとやるってなったら、もちろん自分の知らない部分とか興味のないところまで熱意を持ってやるわけじゃないですか。それが今、出来ないっていうのが……その差が大きいかもしれないです。好きなことはしゃべります(笑)
――かまいたちさんの他に、何か好きなものってあったりします?
小川:ラジオだとオードリーさんとか、みちょぱさんとかも聴いてますし。神田伯山さんも聴いてますし。ラジオ、好きですね。あとは、ハロプロ、タッチ、セーラームーン(笑)とかですかね。映画は好きな作品、いっぱいありますし。
――ラジオとか、そのあたりの世界とも絡めることがあれば嬉しいという感じですか?それこそ、ラジオパーソナリティとか。
小川:そうですね!あと、サンリオも好きです(笑)。全然また違うんですけど。
――今後やってみたいことって何かありますか?
小川:全然また違うんですけど(笑)。陶芸がやりたくて。陶芸には、ずっと興味があって……焼き物が好きなので。旅行へ行った先で器を買ったりするのが好きなんですけど。この間、友達と陶芸体験へ行って、ろくろをやったんですけど、それがすごい楽しくて「これかもしれないな」と、また思って(笑)。すぐに思っちゃうんですけど、陶芸にはちょっと今興味があります。まだ体験しただけなんですけど。
――陶芸ですね!では、いつか番組の方で(笑)。その(今、小川紗良さんがMCをやっている)配信番組のプロデューサーから質問を預かっていて……お聞きしますね。まずは「どんなコスプレをしたいですか?」という。
小川:コスプレ。なんだろう……いっぱいあると思うな。ガチのゴシックロリータというか、高いやつ!『下妻物語』みたいなガチなロリータの世界にすごく興味があります。
――なるほど。もうひとつ質問があって……「犬派ですか?猫派ですか?」
小川:猫派です。この質問、絶対、適当ですよね(笑)
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今回は、テレビ朝日の局員がインタビュアーをしているということを活かしつつ、映画以外の興味の幅や彼女自身のキャラクターに迫ってみた(つもり)。インタビューにもあるように、ひと番組のMCを1年間担当しただけとは思えないくらい数多くのテレビ朝日のアナウンサーと、彼女は絡んでいる。実際に、そのひとりひとりとの距離の詰め方を見ながら、どこか彼女の芯をチラ見したような気もしていた。
けれど、あらためて彼女の語りを聞くと、やっぱり一面しか見ていなかったのかもと気づかされる。彼女をもう少し理解するため、今度は逆に、それぞれのアナウンサーから見た彼女の話を聞いてみようかなとも思っている。ただ、それを終える頃には、ボクが捉えた遥か先を“小川紗良”は歩いているに違いない。実際、このインタビューの後、早速「ラジオパーソナリティ」(文化放送『小川紗良の夢見るラジオ』)という新しい顔も手に入れていたし!
【小川紗良(おがわ・さら)】
1996年6月8日生まれ。東京都出身。早稲田大学卒。高校時代に雑誌に掲載され、芸能界へ。初主演映画『イノセント15』(2016年)や『聖なるもの』(2018年)は海外でも話題に。その後も、テレビドラマ『まんぷく』(2019年、NHK)『アライブ』(2020年、フジテレビ)など多くの作品に出演。その一方で、映画『あさつゆ』(2016年)『最期の星』(2018年)などの脚本・監督を務めるなど、映像作家としての顔も持つ。2021年には映像作家として4作目の初長編映画『海辺の金魚』が公開予定。バラエティ番組『サン・ジェルマン伯爵は知っている』(2019年、テレビ朝日)では、古坂大魔王(CV)と共にMCを担当。新映画レーベル「シネマラボ」第1弾、11月6日公開の本広克行監督作品『ビューティフルドリーマー』では主演を務めている。
取材・文/鈴木さちひろ 撮影/Kazuma Yamano
武蔵野美術大学大学院卒。テレビ朝日にて番組等のプロデュースを行なう。ほか、作詞や脚本の執筆、舞台の演出・プロデュースなどを手掛ける。