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歯の不調でコロナ重症化リスクの可能性。ストレスで顎関節症が増加も

 新型コロナの第3波が到来し、事態は長期化。収束の見えないストレスと生活様式の変化は、私たちの心身をじわじわと蝕み、この冬以降、意外な不調として表れるという。虫歯でもないのに歯が痛んだり、無意識に食いしばって歯が割れたりした人は要注意。慶應義塾大学医学部教授・中川種昭氏を取材した。 男の[体調不良]総点検

ストレスで顎関節症が増加。歯周病でコロナ肺炎の重症化リスクも

 中川氏によると、最近、歯ぎしりや食いしばりによって「顎関節症」になる人が増えているという。 「コロナ禍で社会が不安定なこともあり、ストレスが溜まって顎の筋肉が凝ることが原因です。最近、こうした症状の訴えが増えている体感がありますね。アゴの筋肉のマッサージや体操などをして、ほぐしておくといいと思います」  歯の不調が怖いのは、全身にも影響を及ぼすことだ。2020年7月、英国の医学雑誌『ランセット』で歯周病などの歯科疾患がある人が、新型コロナ感染で重症化しやすいという恐るべき報告が報じられた。 「そもそも歯周病菌は、唾液や血液によって体内にまん延し、肝炎や大腸がんなどにも影響を及ぼすという報告があります。コロナ肺炎を重症化させる因果関係はまだ証明されていませんが、歯周病菌の酵素によって喉の防護粘膜が溶かされ、インフルエンザなどのウイルス感染率が高まるのは事実。自浄作用が下がっていることも踏まえると、コロナが重症化する可能性も高いと言えるでしょう」

歯周病の対策法は?

 歯周病の発症率は35~40歳から高まるそうだが、対策法は? 「基本的なことですが、ご自身の普段の“歯磨き力”に尽きます。正しいブラッシングで歯茎の血行は保たれていくので、面倒でもかかりつけの歯医者さんを見つけ、予防という意味で半年に一回は通ってチェックしてもらいましょう」  身近な症状が大病を引き起こす前に、今すぐ取り組もう。
中川種昭氏

中川種昭氏

【歯科・口腔外科医 中川種昭氏】 ’85年に東京歯科大学卒。’89年に同大学院修了。’02年より慶應義塾大学医学部教授(歯科・口腔外科学教室)に就任。専門分野は歯周病 <取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/田中智久 モデル/板倉光隆>
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