新型コロナの第3波が到来し、事態は長期化。収束の見えないストレスと生活様式の変化は、私たちの心身をじわじわと蝕み、この冬以降、意外な不調として表れるという。最悪のケースを防ぐためにも我が身を総点検し、異常を察知しよう! 今回はテレワークで気をつけたい「肺塞栓症」について医師に取材した。
![男の[体調不良]総点検](/wp-content/uploads/2020/12/20201215cs001-550x367.jpg)
長時間の座りっぱなしで体調に異変
長時間座りっぱなしの在宅勤務で脚に血栓⇒肺塞栓の最悪ルート!
血管が収縮して血の流れが滞りやすくなる冬。もしも脚が腫れたり、歩くと痛みが生じたりしたら、すぐ病院に駆け込んでほしい。循環器内科医の池田隆徳氏は「コロナ禍で初めて迎える冬、特に気をつけたい病気がある」と語る。
「テレワーク中、座ったままずっと脚を動かさずにいると血流が悪くなり、『深部静脈血栓症』と呼ばれる血の塊ができやすくなります。脚の血管内にこの血栓が詰まると、片脚全体やふくらはぎが急に腫れあがるのです」
血栓が詰まらない限り、症状は出ない。だからといって油断していると、「心筋梗塞と同じくらい怖い病気を誘発する」と池田氏。
「深部静脈血栓症で生じた血栓が、肺の動脈に詰まる病気が『肺塞栓症』、いわゆるエコノミークラス症候群です。めまいや失神といった意識障害を発症し、最悪死に至ることも」

左が正常な血管で、右が深部静脈血栓症のできた静脈。この血栓が流れて肺の動脈を詰まらせると死に至るリスクも
在宅勤務による発症リスクを抱えた今冬は“テレワーク肺塞栓症”とでも命名して警戒したい。少なくとも1時間に1回、できれば30分に1回はその場で脚をバタバタさせたり、立ち上がってのストレッチを心がけよう。
ほかにも、飲酒量の増えるこの時期に注意したいのが“ぽっくり病”と呼ばれるブルガダ症候群だ。
「自律神経の乱れがトリガーとなる不整脈です。30~50代に多く、健康な人でも突然死します。暴飲暴食をした後など、副交感神経が優位で、リラックスしている夜間や早朝に起きやすい」
心の隙に死神は入り込むのだ。
【循環器内科医 池田隆徳氏】
東邦大学医療センター大森病院循環器内科センター長。著書に『
いちばん親切な モニター心電図の読み方』(新星出版社)など

池田隆徳氏
<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/田中智久 モデル/板倉光隆>