しかし、そんな友田さんの願いも虚しくあっさりと奥さんに見抜かれていたのであった。 「電話の発信音がおかしいと思って、心配したそうなんです。それで一度家に帰り、僕のパスポートがないことに気づいたようです。2日後に僕が帰国すると、家にいるはずのない妻がいてひっくり返りそうになりましたよ。『あなた、荷物見せてくれない？』と言われて、パスポートやら航空券の半券などが見つかってしまいました。今なら顔認証システムでバレないのですが当時は導入前で。出国スタンプまで見られて、もはや言い逃れはできませんでしたね……」 　ちなみに友田さんのパスポートはその翌年に有効期限が切れてしまったため、もし見られなければ一生闇に葬ることができたのである。Wi-Fiをなくしただけで、すべてのタイミングが重なって奥さんにバレてしまうという最悪な結果に陥ってしまったのだ。そんな友田さんはその後、どうなったのだろうか？ 「妻の両親にもバラされてしまい、直接は言われないけど未だに軽蔑の視線を感じます。特に昨年は香港のニュースが流れる度に妻には思い出したかのように文句を言われました。コロナが流行し、僕が自由に遊べなくなったことを機に徐々に機嫌も良くなっていったようです。その代わり、子供がもう少し大きくなったら僕を置いて旅行に行くからその旅費を出してね、と言われています」 　せっかくの羽を広げる旅行のはずが思いがけない展開に。「Wi-Fiを落としただけなのに……」となってしまった。＜取材・文／結城＞