仕事

“巣ごもり需要”で急増する宅配ドライバー。未経験でのリアルな報酬は?

「委託切り」の落とし穴

 苦労しながらも何とか繁忙期を乗り越えようやく慣れたころに待ち受けているのが「委託切り」だ。  例年2月と8月に入ると宅配便は閑散期に突入する。  俗に言う『2・8(ニッパチ)』。繁忙期からの荷物量が急激に落ち込み、この時期になると容赦のない委託切りが各宅配会社で行われる。委託の契約期間は各社3ヵ月、6ヵ月と短期のものが多い。その2月に標準を合わせて契約するところもある。たとえ委託切りにあわなくとも、配達する荷物の数はかなり減らされる。 「最初から大手宅配会社に就職すれば?」という声もあがりそうだが、ある程度の年齢(40代以上)になると、大手宅配会社の正社員になること自体が難しくなる。たとえ入社が出来ても契約社員としての待遇。実績を認められれば社員の道もあるが、かなり難しい。

個人の宅配ドライバーに未来はないのか

 今後、さらに増えると思われる個人事業主としての宅配ドライバー。これからも需要はあり続けるのか。今後増え続ける荷物、宅配会社社員の増え続ける労働時間を考えると、宅配会社にとって個人事業主ドライバーは切っても切れない存在なのだ。また、個人事業主ドライバーには宅配便の配達の他にもルート配送やスポット便やチャーター便という仕事も請け負うことができる。営業ノウハウをつければさらなる道が開けるだろう。  何よりも経験がものをいう世界。宅配業界未経験の人は、まずは慣れるまで下請け会社に勤めるか、個人事業主に拘りがあるのであればフランチャイズや下請け運送会社に所属して仕事を振ってもらうなどのやり方もある。  宅配業界に新たな風を吹かすのは、既存の宅配会社ではなく個人事業主ドライバーにかかっているかもしれない。
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」
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