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タクシーで長距離乗車するのってどんな人?東京ー新潟を往復をしたツワモノも

タクシー

タクシーのドライバーにとって、長距離乗車してくれる客はオイシイ客なのだが……(写真はイメージ)

なぜタクシーの運転手は600kmも走ったのか?

 1月半ば、横浜からタクシーで鳥取まで無賃乗車をした女が逮捕された。横浜から鳥取、実に600kmにも及ぶ距離を乗車し、23万円ものタクシー代金を踏み倒したのである。踏み倒された運転手にとってはたまったものではないが、この事件、タクシー業界からは同情の声だけでなく、疑問符が付く意見が出ているという。都内の大手タクシー会社に勤務して11年になる男性ドライバーのSさん(62歳)はこう訝しがる。 「横浜から鳥取っていきなり言われたら、まずは会社に連絡して判断を仰ぐと思うよ。ウチの会社は名古屋とか、大阪なんて言われたらまず電話しろって言われている。調べたら、鳥取まで高速をノンストップで走っても9時間。休憩なんか挟んだら10~11時間近く走ることになる。そうなると、1人の運転手じゃ無理。補助のドライバーも乗せたりしなきゃいけないから、一旦会社に戻らなきゃいけなかったりもする。 なんでもう1人ドライバー乗せなきゃいけないかって言うと、我々は勤務時間や休憩時間が厳しく決められていて、勤務時間内に帰社できないとものすごく怒られる。場合によっては始末書や乗車できなくなってしまう。それと、なによりもそのお客さんが本当にお金を持っているか確認しなきゃダメだよね」

ロング客に思わず……なのか?

 Sさんはこう前置きして、今回の一件についての意見を述べてくれた。 「たぶん……だよ、あくまでもたぶんなんだけど、この運転手が『鳥取? 一発20万円! よっしゃ!』みたいになっちゃって、乗せちゃったんじゃないか。コロナが蔓延し始めてからこっち、緊急事態宣言で夜の店は閉まるし、リモートワークで残業して帰りはタクシーなんて人もいなくなっちゃった。ロング(※長距離乗車のこと)なんかほとんどないし、タクシーの運転手は青息吐息なんだ」  売上げが減ったところに舞いこんだ“超”が付くほどのロング客。だが、実は無賃乗車で20万円以上のカネを踏み倒されたのでは、泣くに泣けないだろう。今回の一件で、筆者は何人かのタクシードライバーに話を聞いたのだが、法人タクシーの運転手はSさんと同じく「このレベルの距離なら、一度会社に相談する」と口を揃えた。そして無賃乗車だった際の被害も大きいため「お金持っているかは絶対に聞くよ」とも。また、「ウチの会社は一日に走っていい距離が350kmって決まってるから、鳥取なんて言われた時点でごめんなさいしちゃうな」という方もいた。
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