更新日:2021年03月01日 20:52
仕事

名作アニメ、制作現場は人手が足りない? SNSでの募集告知が話題に

名作『火垂るの墓』も制作が間に合わなかった

 現在は差し替えられているが、高畑勲の『火垂るの墓』も公開までに一部の彩色が間に合わないことが明らかになり、未完成部分を演出の意図のようにみせる形で公開された。高畑はこれを恥じて、一時は廃業を決意したともいわれている。  属人的な要素の強い映像製作がスケジュールの通りに進むことは、まずあり得ない。様々な要因が重なって、放送日や公開日までに間に合わないという事態はどこでも起こりえるのだ。重要なのは、「もう、間に合わない」と早めに気付いてリカバリできるかどうかにかかっているといえる。 「受注している仕事で作画監督がいません、間に合いませんなんて募集をかけたら、損害賠償問題になりえます。ただ『シェンムー』が幸運なのは、セガサミー(※『シェンムー3』はセガホールディングスからライセンス許諾を得て開発)の子会社のトムス・エンタテインメントが受託して、その傘下のテレコムが制作しているわけです。同じグループ内でのことですから、さほど問題にはならないでしょう。募集の際、Twitterでも社長の許可を取っているとつぶやいていましたし、最悪の事態になる前に作品名も出して即戦力になり得る人材を探しているのでしょう」(前同)

世界規模で人気を集める日本アニメ

 前にも書いたように『シェンムー』は、壮大な物語が高い評価を得ながらも、ドリームキャストの撤退などの要素が絡んで中断していた悲劇の傑作であった。しかし、ファンの想いはいまだに熱い。筆者は2015年にクラウドファンディングが話題になった直後に、関係者に取材したことがあるが、海外でのファンの多さに驚いたのを覚えている。  そのアニメ版も世界規模で、どういった作品になるのか成否が期待されているのはいうまでもない。ぜひよりよい人材を経て「一時はどうなるかと思った」と笑い話にできるレベルの高い作品を期待している。 取材・文/昼間たかし
ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』
1
2
3
おすすめ記事