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今どきファックスを多用する会社の本音「実はメールのほうがシステムは弱い」

意外と若い世代にもファックスは残るかも

業務風景

デジタル化された書類を効率的に管理運用するため、デスクには複数のモニターを導入

「導入当初の頃は画面上で書類を読むと頭に入ってきにくい感覚もありましたけど、いまは慣れの問題という気もします」と語る久永氏。モリタ工業には50代の社員も多いそうだが、年齢に関係なく多くの社員がIT化のメリットを実感しているようだ。 「書類を紙で保管していると1枚1枚ページをめくりながら資料を探す必要がありますが、デジタル化で情報検索性が増して、そうした時間が短縮されたのも大きいです。とはいえ、倉庫作業など実際の現場で紙に出力して作業しやすい場面もあるし、会議も完全にデジタル化しているわけでもない。  ペーパーレス化の一環で会議室に50インチモニターを3台つけたんですが、A3の細かい表とかになると見にくいし、書き込みもラクなので、そうした資料はいまも紙で配っています。事務作業が多い部署のデスクには、24インチモニターを2面または3面並べ、一見すると株トレーダーみたいなデスクですけど、あくまで大切なのはスムーズに仕事できる環境づくりですから」

ルーティン業務にファックス向き

 メリットを活かしながらファックスと共存する働き方を実践する同社だが、この春に高校を卒業する新入社員も入社予定。取引先なども含めて将来的に世代交代が進んでも、ファックスによる業務は果たして今後も残り続けるのだろうか。 「結局、若い方が入ってきても先輩の仕事のやり方を引き継いでいくので、意外と若い世代にも残るかもしれないですね。特に定型的な情報を毎日やり取りするようなルーティン業務にファックスは向いていると思っていて。  長年お付き合いしている取引先さんが多いんですが、新規のお取引先さんでもメールや電話でまず連絡を差し上げて、お互いコンセンサスができたら、ファックスでのやり取りが中心になるというケースもあります」  IT化やデジタル化はあくまで手段。世代やリテラシーを問わず、使いやすいツールを活用していくことが大切なようだ。<文/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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