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崖っぷちの地下タレントが「毎日7~8時間」クラブハウスに全振りした結果

コネクションが生まれるSNS「仕事の種まきになる」と確信

クラブハウス

クラブハウス中のいちご姫さん

 登録して1時間もたたぬうち、さっそく仲の良い友人の女社長のルームを覗いてみたところ、すぐにスピーカー(しゃべる立場)に誘われたという。これが“クラブハウス沼”にハマるキッカケとなる。 「友人の女社長と、イベント会社経営者2人の計4人だけのルームだったんですが、友人が私の経歴も丁寧に紹介してくれて。そのおかげか、イベント会社経営者たちもすごく興味を持ってくれたんです。具体的にどんなマジックが出来るのか、どのぐらいのギャラなのかも聞いてくださり。今はコロナ禍で無理だけど、落ち着いたらぜひオファーすると言っていただけて。それで、もしかすると、クラブハウスは仕事の種まきになるんじゃないかなって」  大阪在住のいちご姫さん以外は全員都内に住んでいる。これまでは実際に会って紹介を受けるとなると、スケジュール調整が難しく、実現に至らないことが多々あったという。その点クラブハウスならば、住んでいる場所を問わず、スムーズに人と人がつながる。 「以前は“紹介”が流れてしまうことも多かった。何時間やったって時給が出るわけではないけれど、特に移動が難しい今の時代、仕事につなげる手段のひとつにはなるだろうなって確信したんです」  コロナ禍で人間関係が希薄になりつつある中、クラブハウスには多くのユーザーが集まっていた。メディアの報道も過熱する。  自身の経験から「SNSは最初が肝心だ!」と思ったいちご姫さんは、翌日から毎日7~8時間をクラブハウスに費やした。その結果……。 「読みが当たっていましたね。今回の取材が受けられたほか、某雑誌でもインタビューが決まりました。仕事が激減する中、もしも何もしていなければ、なかった仕事だから。やっぱり、始めて良かったなって。まだ緊急事態宣言があけたばかりでどうなるかわかりませんが、イベントの仕事も後々実現できそうです」  コネクションが生まれるという点でいえば、仕事以外でも良いことがあったとか。 「3人ぐらいでルームを立ち上げていた時に、たまたま昆虫食の話になったんです。無印良品で販売されている“コオロギせんべい”という商品があって。何店舗もまわっても1個も見つからなかった。私がそんな話をしていたら、虫関連の有名YouTuberの人が入ってきてくれて。その方の人脈をたどって、コオロギせんべいを譲っていただけることになったんです」  また、音声SNSのクラブハウスでは著名人と実際に「話せる」チャンスがあることも魅力だという。 「私は人がルームに来てくれないことがとにかく嫌だから、毎回知名度がある子を呼んだり、司会がうまい芸人さんたちとコラボしたり。トークテーマもちゃんと考えてやりました。いちばんビックリしたのが、誰もが知る有名人が覗きに来てくれて、仲良くなれたこと。クラブハウスがなければ、あんなに気さくに話せる機会はなかったと思うんで」

ブームから2か月でユーザーが変化、セミナー系の人たちも殺到

 彼女がクラブハウスを始めて早2か月。すでにユーザーの移り変わりを感じた。 「最近は、変なおっちゃんとかも増えてきて、うまくトークが回らないことも増えました。始めた当初より有名人との絡みや直接仕事の話ができる機会が減ったと実感しています。  また、ユーザーの間で“今後はクラブハウスの一部コンテンツが有料化されるのではないか”という話があるのですが……それに向けて、セミナー系の人たちがこぞって集まってきた印象です」  たとえクラブハウスが有料化されても、彼女は無償のままやるつもりだと話す。 「もしも、いわゆる“投げ銭”みたいな機能が付いたら、ありがたく受け取りますが(笑)。基本的には仕事の種まき、トークスキルの向上、人脈づくり。クラブハウス自体で稼ごうっていう考えはないです。我ながらうまく使えたな、という自負もあるので緊急事態宣言は開けましたが、今後も辞めるつもりはないです。でも、やっぱり、直接みんなに会いたいな……」 <取材・文/吉沢さりぃ>
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
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