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999円の航空券も発売。“攻めの価格”を変えないLCCの戦略とは

飛行機に乗れば無料でPCR検査を

 最新の動きで気になるのは、無償のPCR検査を提供している点だ。現時点では、ゴールデンウイーク明けまでの期間、ピーチの成田、関西の両国際空港発国内線で3種類の運賃のうち上位2つの運賃となるバリュー、プライムを購入した希望者にその権利が付与される。コロナ禍の中でも移動しなくてはならない人はいる。  このサービスは親会社のANAでも9900円(税込)という値段での提供されている。JALにしても検査の定価との差はJALが払うが利用者には2000円(税込)の負担がかかる。検体返送時の送料を除いて無償なのは日本ではピーチだけの初めての取組みだ。  同社広報・サスティナビリティ推進室の檜秀憲(ひのき ひでのり)氏に取材することができた。檜氏は、関西空港の住所となる泉佐野市から人事交流で派遣された職員だ。ピーチに出向して2年が経つ。最近の取り組みを聞いてみた。檜氏によれば 「今お知らせしたいのは機内デジタルサービスです。インフライトエンターテインメントの代わりとなるもので、搭乗者自身のデバイスを用いて機内にてデジタルサービスにアクセス頂けます」  フライトマップの表示や、ドラマやアニメの視聴、機内食やグッズの注文に、目的地で使うチケット購入などができるというものだ。機内に置くサーバー機器を日本製にし、コンテンツの提供を地元大阪のTV局に依頼するなど本格的だ。 「機内食がフードロスになったことが発案のきっかけで、シンプルに機内食の販売を一部空港売店の『peach SHOP』に変えました。利用者の方が食べたいものを購入頂いて機内でお召し上がり頂くことができます」  環境へ配慮したフードロス問題への取り組みにも力を入れているという。

国内第3のエアラインに成長

 現在、ピーチはANAの連結決算に組み込まれ、業績は目立たない。個別に搭乗実績を見れば、エアラインの実績を表す有償旅客キロ(RPK)は国内第3のエアラインと言われるスカイマークを超えた。コロナ禍前の2019年実績ではあるが、スカイマークが790万RPKに対し、ピーチは920万RPKの数字を出しており、ANA・JALに次ぐ国内第3位のエアラインで日本一のLCCであることに間違いはない。この先も何か新しい発見をもたらしてくれる楽しみのあるエアラインだ。<文/北島幸司>
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
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