ニッチな航路で採算取れる?関西拠点の「新たなエアライン」共同代表に聞く“勝算”
日本にまた新たなエアラインが誕生した。その名は「ジェイキャス エアウェイズ」だ。2026年春、関西空港を拠点に、鳥取県米子と富山を結ぶ路線での新規就航を目指している。
まず「ジェイキャス エアウェイズ」という社名の由来について、ビジネスサイドを担当する梅本さんは、こう説明する。
「『JCAS』の名前は『Japan Commuter Air Service』から来ています。2023年に新たにジェイキャス エアウェイズとした際に『Japan Cozy and Splendor』との意味を付加し、国内外のお客様に向けて『快適で先進的なおもてなしを提供し、日本独自の心地よい旅の体験をお届けする新しいエアライン』を目指すことにしました。ブランドカラーは先進性があり、元気が出る明るい黄色とダークブルーで表現し、朝から夜まで続く長い旅のパートナーとしてご利用いただきたい」
また、「空のエキスパート」と紹介され、JAL出身で運航関係を統括する白根さんは、機材選定の理由をこう説明する。
「2年間ほどの市場調査の結果、1500m以上の滑走路を有する空港に就航する際には、かなりの搭乗数が見込まれることが判明したため、搭乗者数50人以下のATR42-600よりも70人台のATR72-600を選択したほうが有利になると判断しました」
日本の航空路線構造は羽田に繋がっており、「それ以外を俯瞰するとJRのみの移動で不便な場所が多い」と梅本さんは語る。
「それゆえに、国際線とのIn and Outが見込める関西空港を拠点に、米子(2023年の旅客数全国39位)と富山(同47位)を選びました。アクセス手段が少ない地域にビジネスニーズがあり、鉄道とバス以外の利便性を提供できると考えています。富山空港の2026年民営化に合わせた発展計画の成長性も考慮しています」
過去に、米子はスカイマークで神戸間を、富山はANAで関西空港間をエアバスA320で結ばれていたことがある。
「当時の搭乗率は、それぞれ30%程度だったということから考えて、ボーイング737(席数177)を運航するSKYとエアバスA320(席数166)を運航するANAの機体では、50~53人が搭乗していたことになります。これを72人乗りのATRに置き換えると、搭乗率は一般的な採算ラインと言われる70%となる」(白根さん)
関西空港と米子、富山というニッチな航路に採算が取れるかと思いがちだが、わかり易い計算方法を紹介すると、このように勝算があることがわかるだろう
地方活性化の一助になることはもちろんだが、一方の空港を関西空港にすることで、流出入旅客の獲得を目指す考えだ。共同代表取締役の白根清司さんと梅本祐紀さんに設立の経緯と将来性の話を聞いた。
社名とブランドコンセプト
関西拠点の二路線選定の理由
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航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
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