更新日:2021年04月16日 14:42
エンタメ

松井珠理奈が卒業。ここから新たに色づくSKE48の未来

総選挙1位の話も

 アンコール一曲目は1期生にとって思い入れのある「神々の領域」。感極まり声が出せない場面もあったが最後の1期生として、一人で歌い切った。そして、続く「Glory Days」では卒業生の桑原と中西が再登場。初めてのSKE48オリジナル公演『手をつなぎながら』公演でこの曲を初めて披露した際のオリジナルメンバーが揃った瞬間だった。  この後、SKE48劇場で行われたアフタートークにて、桑原は珠理奈が泣き崩れても支えてやり切ろうと中西と話していたというエピソードを話し、珠理奈も「二人を見た瞬間に笑顔でやりきろうねっていう目が見えて、(気持ちが)伝わってきたら、涙もうでんくって。当時に戻った」と純粋に二人とのパフォーマンスを楽しむ思いが込み上げ、涙が止まった経緯を語っていた。  その後、最後のスピーチでは1位になった選抜総選挙があったときのエピソードを話し「やっと素直な気持ちでしゃべることができました。たまにはいいよね。泣いても」と漏らす。この言葉に、いかに“SKE48のセンター松井珠理奈”という看板を意識し、背負い、その重圧と11歳というまだ幼い頃から戦い続けてきた大変さを感じずにはいられなかった。 「大好き、幸せ、ありがとう」。そう言い残して、ステージを後にした珠理奈。アフタートークに表れたときは「お待たせ―、おやすみなさい」が第一声で「眠い。お腹空いた。なんかわがまま娘みたいだけど、出し切った」と何か肩の荷が下りた感じで、加入当時みせていたダジャレが好きで無邪気なお調子者、人懐っこい松井珠理奈に戻っていたように思えた。

これからは珠理奈個人の人生を

 彼女を取材するなかで、常に感じ続けてきたSKE48が好きだから、SKE48をよくしていきたいという気持ち。もともとの負けず嫌いな性格やそういったグループへの思いが強すぎて、ときに空回りしたり、苦しんでしまうこともあったように思うし、よく思われない感情を抱かれてしまったこともあったように思う。  ただ、10代の初めから、ここまで純粋に一つのグループに打ち込んで長年やり遂げた人もまたいないと思う。肩の荷がおりたいま、改めてしっかりリフレッシュして、松井珠理奈個人としての今後を描いていってほしい。  卒業コンサートの方は、最後、珠理奈が作詞した未発表曲「オレンジのバス」を残るメンバーが歌唱して終了。SKE48劇場支配人も務める斉藤真木子が「珠理奈さんが残してくれたこの『オレンジのバス』と一緒に私たちSKE48は歩み続けて、走り続けていきたいと思います。皆さま、珠理奈さんが卒業された後も、珠理奈さんのことを愛して、SKE48のことをもっともっと愛していただけると嬉しいです」と話した。  グループとしては、前日に卒業コンサートをした高柳明音と松井珠理奈という大きな柱を同時に失う形になる。これを好機と捉えるか、ピンチと捉えるかは残されたメンバーたち次第。  珠理奈が残した「オレンジのバス」の歌詞には“可能性を秘めていると思って自分信じていこうよ”“これからたくさんの色を自由つければいい”という言葉があった。  伝統を重んじてきたSKE48だが、ここからはいままでにはなかった改革があってもいいのかもしれない。  これから彼女たちがどんな色をつけていくのか。オレンジ色ではないSKE48が生まれたとき、どんな景色が見えてくるのか。秘めた可能性を存分に発揮して、これからも名古屋・栄の地から魅力を発信していってもらいたい。 取材・文/八木康晴(本誌) 写真/©2021 Zest,Inc./ AEI
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