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コンビニバイトができる限界年齢。実際に働く人のリアルな声

「老後には2000万円の貯蓄が必要」。2年前に問題になり、今なお尾を引くテーマだが、現実的には「少しでも長く働こう」と考えている人も多いだろう。そのとき、コンビニは高齢労働者の受け皿となり得るのか? 実際にコンビニで働く人の、リアルな声を集めてみた。

早朝勤務が向いている?シニアのコンビニバイト事情

コンビニバイト 今月から、65~70歳までの高年齢者就業機会を確保するため、就労環境の整備を目的として改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)が施行された。企業には「定年を70歳まで引き上げる」「70歳までの継続雇用制度の導入」など、いずれかの措置を講ずる努力義務が課される。  しかし、コロナ禍で経費削減に突き進む企業は多く、シニア雇用を生み出すのが難しいのも実情だ。そのなかで、これまで常に“人材不足″であったコンビニは高齢労働者たちの受け皿になりうるのか。実際にコンビニで働く60歳以上の方々から現場のリアルな話を聞いて、働ける限界年齢を探った。 「59歳のときから週5日、フルタイムの8~17時勤務で働いています。月給は18万円ほど。立ち仕事はきついですけど、以前は工場で8時間働いたあと、コンビニで3~4時間レジ打ちしていたので、そのときに比べたら大丈夫です」  こう語ってくれたのは佐藤かおりさん(仮名・66歳)。約20年前、家計が厳しくなったときに、レジ打ちからコンビニバイトを始めた。 「ダブルワーク可能な仕事を探したときに見つけたのがきっかけですね。未だに家計は厳しいのでこれからも働き続けるつもりですが、若いときにコンビニの仕事を覚えといてよかったです。今から全部覚えるのは、私には少し大変だったと思うので……」

すぐに辞めてしまうシニアは案外多い

コンビニバイト 佐藤さんが話すように、いまやコンビニ業務は多岐にわたり、公共料金の収納代行から宅配の受付、品出し、フライヤー(揚げ物商品)の管理、清掃など、マルチタスクは当たり前。  コンビニジャーナリストの渡辺広明氏は「60歳以上のシニアにとって、コンビニ業務のハードルはかなり高い」と語る。 「始めても『求められるものが多すぎて覚えられない』と、すぐに辞めてしまうシニアの方は案外多いとオーナーさんから聞きますね。コンビニ店員にきつくあたる客も多いので、サラリーマンで勤め上げた人ほど、たまに浴びる罵詈雑言に耐えられないことがあるようです。レジ打ちだけ、品出しだけとか、単一業務からゆっくり覚えられるようにしているコンビニでは、シニアの方も続いている印象です」
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「定年後も社会との接点を持ち続けたい」
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