仕事

コンビニバイトができる限界年齢。実際に働く人のリアルな声

「定年後も社会との接点を持ち続けたい」

 仕事に適正はあるが、同時にチャレンジ精神も大切だ。今年で63歳になる安西邦夫さん(仮名)は、コンビニ未経験ながら昨年の10月からアルバイトを始めた。
コンビニバイト

子どもは2人いるが、現在は奥様との2人暮らし。「家族は『よくやるよね』って呆れてる(笑)若い子と恋バナしたり、楽しいですけどね」(安西さん)

「本職の出勤日数が60歳を過ぎてから月18日だったのが、コロナ禍で10日まで減ってしまって。時間を持て余してバイトを探したのがきっかけでした。会社は65歳定年で、最長67歳まで勤務可能なのですが、定年になってからバイトを探しても遅いと思って。今は週3日、朝6時から本職が始まる11時まで働いています」  安西さんの本業は大手輸送関係。30年以上勤め、一般的にはエリートと呼ばれるサラリーマンだが、コンビニでのアルバイトは「すべてが新鮮」だそう。 「本職では30年間以上、同じ業務を同じ仲間と続けています。一方で、コンビニではお客様と、入れ替わりが激しくさまざまなバックグラウンドを持った同僚という、社会との接点がある。同僚は上が76歳、下は20歳と幅広いんです。ものすごくいい刺激がありますね。担当は朝の時間帯。お客さんがとても急いでいて、接客の緊張感もハンパないんですよ(笑)」  はじめのうちはマニュアルが覚えられず、「もたもたして客に怒鳴られることもあった」と安西さん。メモを見返しながらなんとか1か月で接客と品出しを覚えた。それでも、「瞬間的に忙しければ忙しいほど燃えます」と明るく語る。 「元来、じっとしているのが苦手な性格で、動き続けていたいんですよ。本業の前に働いているから休日の解放感も増して、体への負担は感じないですね。定年後も、いろんな形で社会との接点を持ち続けたいと考えています」

慢性的な肩こりが治ったという声も

 大手コンビニ3社はいずれも、HP上でアクティブシニアの積極採用を謳っている。ローソン広報部に実情を聞くと、「60歳以上のパート・アルバイトの方は約2万人で、総従業員数のおよそ1割を占めています。ローソンも客層が拡大し、60歳以上のお客様の比率が約2割となるなかで、会話しやすいシニアの方に働いていただくのは自然な流れです」とのこと。 「遅刻が少なく、早朝勤務も苦にせず明るく働いてくださる傾向がある」そうで、たしかに朝早く目覚めてしまうシニアには向いているかもしれない。
コンビニバイト

画像はローソンHP上のシニア採用紹介のキャプチャ。シニアの方がイキイキと働く様子が伺える

 また、体力的に厳しい印象のあるコンビニバイトで「健康になった」と語るのは、コンビニ歴5年の清水恵子さん(仮名・63歳)だ。 「今も続けている本業がパソコン作業なので、ほどよく体を動かすコンビニで働き始めたら、慢性的な肩こりが治ったんですよ。電子マネーやスマホ決済で複雑怪奇なレジ仕事も、最初は『こんなの無理!』と思いましたが、覚えてしまった今では『私はこんなことができる』という優越感を得ています。ボケ防止にもなる気がして、友人にも勧めていますね」  肉体労働と捉えるか、軽い運動と捉えるかで意欲も異なるのだろう。清水さんは「うちのコンビニは定年が75歳までなので、それまで続けたい」とモチベーションも高い。
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接客業と自分の性格との相性は要確認
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