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発達障害の特性を“個性”に変えるテクニックとは。実践者が語る

雑談は、相手が好むテーマ選びが肝心

zatsudan

写真はイメージです

 表情やボディランゲージから、相手の感情を見ることに成功した銀河さんですが、一番困ったのが「雑談」だったとか。いまだに得意ではないものの、次第に雑談はテーマを選ぶことが肝心だと気が付いたのだとか。 「クライアントとの雑談の際は、テーマを選び間違えなければうまくいきます。ついつい自分の好みの話題を振ってしまいがちですが、それは無視して、相手の好きな話題をふれば、たいていの人は喜んでくれる。そして、そのテーマに関する質問を投げかけるようにパターン化していました」  そして、話題選びは、日頃から相手との会話内容をメモし、相手の会話の中に頻出するテーマを選ぶようにしていたそうです。 「なぜ私が先生との会話をメモするという大変手間のかかることをしていたかというと、私が問題社員だったために、上司から社内で唯一、『訪問先の先生とした会話を日報に書いておけ』と厳命を受けていたからです。この日報を書くのは非常に手間がかかりましたが、今にして思えば、それぞれの先生の好みがわかったのは、この日報のおかげでした。そのおかげで『この先生は釣りに興味があるんだな』『この先生はお子さんがいて、来年は受験なんだな』などと話題をピックアップすることができました」

パターンを自動化し、営業成績2位を獲得

 もっとも、会った人のすべてとの会話を全部を書き起こすのは大変なので、メモ帳や先生の名刺に「この先生は猫好き」「ゴルフ好き」「娘さんが3人いる」などと、簡単なテーマをメモするだけでも、十分雑談のネタをピックアップになると銀河さんは続けます。 「どれも一見するとごくごくシンプルな手法ばかりですが、意外とこの単純な方法が功を奏して、先生たちからクレームを受けたり、怒られたりすることは減っていきました。次第に周囲の同僚たちよりも営業成績が伸び、最終的には社内で2位の営業成績を勝ち取る……という奇跡的な出来事も起こりました。  一度、シチュエーションごとの対応策をパターン化できれば、その場で臨機応変に状況を判断しなくても、ある程度は、〝自動化〞できます。その結果、『このパターンはどうしたらいいんだろう?』と焦ることもなければ、変な行動を取って大きなミスをおかすリスクを大幅に減らすことができます」  発達障害ならではの個性を強みに変えれば、日常生活や仕事などに活かすことが可能なのだ。 【銀河】 上智大学卒。ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)の当事者。ASD優位で空気を読むことが大の苦手。新卒で営業としてキャリアをスタートするも、約1年でうつ病を発症。復職し、発達障害の強みを活かして営業成績2位をおさめる。入社満3年で退社し、会社の同期が設立したCare Earth(株)に誘われて入社。現在ではキャリアアドバイザーとして、転職サポートを行っている。また、キャリアや生活で悩む発達障害の人へのアドバイスなどを中心に、コーチングも行っている。初の著書は『「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本』。Twitter:@galaxy_career <取材・文/日刊SPA!取材班>
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「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本

「ASD当事者・コーチングのプロ」が教える
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