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発達障害の特性を“個性”に変えるテクニックとは。実践者が語る

イーロン・マスク、米津玄師。発達障害を公表する著名人たち

 今年5月に、スペースXのイーロン・マスクが、「自身がアスペルガー症候群である」と公表して、新たに注目されているASD(自閉症スペクトラム障害)。また、アーティストの米津玄師も、以前、自身が高機能自閉症だと発表し、話題を呼びました。  こうした著名人の発表により、少しずつ、社会的な認知度が上がってきつつあるのが、発達障害の一種であり、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」と呼ばれるASDです。「人間関係の構築が苦手」「こだわりが強い」などの特性を持つASDですが、いまだ有効な治療薬はないとされています。  そんな中「治療薬がないからこそ、自分でなんらかの攻略法を考える必要がある」と語るのは、4月に『「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本』を上梓した銀河さんです。数年前に自身もASDだと診断された銀河さんは、以来、自分の発達障害の特性を「個性」ととらえ、強みに変える攻略法を多数研究してきたのだとか。そんな銀河さんに、自身が実践するテクニックを伺いました。
銀河

銀河さん

職場のいじめでうつ病を発症し、病院へ

 製薬メーカーでMRとして働いていた25歳のとき、職場のいじめを受けて、自殺願望を持つようになったという銀河さん。「このままでは自殺してしまう」とうつ病を疑い、病院に行ったのだとか。 「最初はうつ病だと思って病院に行ったのに、『あなたはうつ病のほかに、ほかの病気もありそうですね。ちょっと診断してみましょう』と言われて。そこで、発達障害の検査を受け、自分がASDであることを知りました。最初は、『こんな障害を持ちながら、自分はこれからどうやって生きていけばいいんだろう』『どうやったら発達障害でない人と同じようになれるんだろう』と悩みましたね……」  ただ、いくら悩んでも、「定型発達」と呼ばれる人々と同じようには行動できない。次第に「発達障害=ハンディキャップ」と考えるのではなく、「発達障害=個性」と考えるように心がけるようになったのだとか。 「発達障害を一概に悪いものだと考えて、普通の人と同じようになるのをめざすのは、マイナスをゼロにするようなもの。また、自分が苦手なことをいかに無理してカバーしても、結局は発達障害でない定型発達の人と同じスタートラインに立つことしかできません。ならば、発達障害が持つ『こだわりの強さ』や『決めたパターンを踏襲しつづける』という個性を、ネガティブにとらえず、プラスに活かす方がいいじゃないかと考えるようになったんです」
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「空気を読む」は一つのスキルに過ぎない
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「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本

「ASD当事者・コーチングのプロ」が教える
発達障害を「資産」に変える50のコツ

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