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コロナ禍で「在宅避難」は可能か。防災のキホンを専門家に聞く

“ローリングストック”で日常食を常に備蓄する

旭化成ホームズ

出典元:旭化成ホームズ

 そして、被災後の生活を鑑みて生活必需品の備蓄も必要になってくるだろう。物資が不足しがちな状況になることも踏まえ、最低でも3日分の備えはストックしておくといいそうだ。 「昔は非常食としてカンパンが主流でしたが、今ではだいぶレトルトや缶詰めといった常温保存食が充実してきました。また、雑炊やドライカレーのようなお湯や水を加えれば食べられる保存食も多く出ているので、うまく取り入れるといいと思います。  備蓄する際に心がけるポイントは『好きな保存食は多めに買って、常に在庫を持ち、使ったら補充のサイクルを作る』こと。賞味期限が長持ちするレトルトやインスタント食品を常備しておき、期限の古いものから食べ、なくなる前に補充する“ローリングストック”と呼ばれる備蓄方法がおすすめです。  また食料品以外でも、ライフラインが止まってしまうことを想定し、飲料水や乾電池、懐中電灯、携帯電話の予備バッテリーなど避難生活下で必要になるのは備蓄しておくのが無難です」
旭化成ホームズ

出典元:「住まいの防災ハンドブック」 旭化成ホームズ作成

コロナ禍の防災トレンドは「在宅避難」

 日頃の防災対策はもとよりコロナ禍では、感染症対策も講じなければならない。学校の体育館や公民館などに設けられる避難所は、感染リスク対策で、収容定員が限られる傾向にある。  災害避難所へ向かう以外にも車中泊や親族宅で難所を乗り切ることも選択肢のうちであるが、最新の防災トレンドとして「在宅避難」も注目が集まっているという。 「自宅で避難生活を送る『在宅避難』を実践するには条件があります。津波や火災の危険がある場合は、一度安全な場所に避難し、安全を確認してから自宅に戻ってください。まず、地盤の崩れや家の傾きがないか。というのは、日本の建築基準法で定める耐震の基準は『震度5強程度で損傷せず、震度6程度で倒壊しないこと』を最低限求めているのに過ぎないため、震度6以上では損傷し家が傾いた状態で倒壊を食い止めたケースも出てきて、余震で倒壊するリスクがあるからです。また、在宅で避難生活を送るには家具の転倒や落下、ガラスの飛散がないことも大事。これら全ての条件を満たせば、在宅避難も可能になってきます」  日頃住み慣れた家での在宅避難であれば、災害避難所よりも快適に過ごすことができ、かつプライバシーや衛生面でもメリットがあるだろう。  加えて、生活必需品の備蓄やトイレの利用環境を確保、近隣の在宅避難者との助け合いも必要になってくるという。 「事前は出来るだけ自助でできるよう備えて、災害後は遠慮なく助けを求めるというのが基本姿勢。避難所で食料や物資、生理用品などを貰ってきたり、ボランティアの助けを借りたりすることも事後対応としては大切です。特に妊婦や高齢者など『自分だけの特殊事情』を言い出せず支援不足になる例が多く報告されています。もちろん近隣での融通も大切なので、普段から近隣とコミュニケーションをとり、困ったら相談できるようにしておきましょう」
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災害後も暮らせる住まい環境
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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