更新日:2021年06月06日 19:54
エンタメ

伝説の番組「ひょうきん族」が後のバラエティーに与えた影響力がデカすぎる

視聴者に媚びなかったハングリー精神

 自分の過ちを告白する「ひょうきん懺悔室」では、ナンパしていたことをバラされたり、プライベートをネタにされた。この鼎談で西川のりおは「楽屋落ちでも何でも、笑わせればいいと言うのは視聴者に媚びなかったと言うことですよ」と語っている。「予定調和」も「世間の白い目」=「コンプライアンス」も無視できる情熱が、出演者、スタッフともに溢れていたのだろう。  アドリブ、内輪受け、パロディー、ドッキリとすら言えない度を越したイタズラ、むちゃぶり、プライベートの暴露、現在のお笑いバラエティーに不可欠な要素すべてが「オレたちひょうきん族」には詰まっていた。お笑いとはこうでなくてはならない。芸とはこうでなくてはならない。そんな格好つけよりも「当たれば何でもやってやる!」と言うハングリー精神が、「ひょうきん族」には溢れていた。

その影響はYouTuberにまで!?

 私は、かつて世界のトップを走っていた日本のサブカルチャーが3つあり、それは80年代から90年代の漫画、テレビゲーム、バラエティー番組だと思っている。「風雲!たけし城」(TBS系)や「料理の鉄人」(フジテレビ系)「¥マネーの虎」(日本テレビ系)などのフォーマットが海外で買われていることを見てもそれがわかると思う。
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 私は「ひょうきん族」の影響が、実は現代の世界中に及んでいるのではないかと思っている。「オレたちひょうきん族」が「新しいモノの見方」を提示し、「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(日本テレビ系)が雛形となりバラエティー番組が発展し、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」(日本テレビ系)や「進め!電波少年」(日本テレビ系)など説明を取り払ったチャレンジ番組が誕生して、それがMTVの「ジャッカス」を生み、現在のYouTuberたちに通じていると思う。  新しいモノの見方を指し示し、笑いの角度を発見することは、意識革命と言って問題ないと思う。それは形には残らないが非常に大きな仕事だ。そして、最も難しい仕事だと思う。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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