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ウーマンラッシュアワー・村本大輔はなぜいつも“炎上”するのか?

 本連載「芸人は今日も炎上する」は吉本NSCで伝説の講師と呼ばれる本多正識が、毎週気になった芸人や話題になった芸人を取り上げ、昔話などの四方山話を交えながら語り下ろす、恩師から愛弟子へのメッセージ。  記念すべき第一回は「毎晩電話が掛かってくる」というほど本多先生を愛してやまないウーマンラッシュアワーの村本大輔さんについて、語ってもらいます。なぜ村本さんは炎上するのでしょうか。その原点を語ってもらいます。

村本はワザと炎上しているわけではない

村本大輔×本多正識

写真は週刊SPA!2018年7月10日号「エッジな人々」で対談した際に撮影したもの。「2人のトークはコンビのようであり、また親子のようでもあり、隣で聞いているだけで心躍るものがあった」とは担当編集談

“炎上芸人”が代名詞になった感があるウーマンラッシュアワーの村本君。ツイートするたびに、その多くが“炎上”するため、関心を引くための“炎上商法”のように言われることがありますが、決してわざと炎上を狙っているわけでないと私は思っています。  31年間、NSC(吉本総合芸能学院)の講師をしてきた中でも関わりの濃い生徒です。事あるごとに電話やメールでやりとりをし、今年の1月には2人で90分のトークショーをやって本音で語り合い、彼の“素”の部分をそれなりに知っているひとりでもあるからです。  生き死に関わる事象、個人攻撃になりかねない内容の時には「あれはあかんぞ」と指摘もしますが、計算ではなく感情の赴くままに投稿していることが多いのではないでしょうか。 「影響力がある人間が思い付きで発信するな」と言われることもありますが反面「お前が何を言ってもなんの影響もない」と真逆の“評価”を受ける、そういう意味でも珍しい存在なのかもしれません。  個人的な付き合いのある私からすると素朴に「なんでそんなに嫌われるの?」と思ってしまいますが、本人は嫌われることになんの嫌悪感も危機感も持っていないから、攻撃する側もなにを言ってもひるまない、許しをこうことがない姿勢に余計にヒートアップしていくのでしょう。  漫才師というスタンスは、非常に身近で一番いじりやすいターゲットで発散しようのない怒りやうっぷんをぶつけるのにちょうどいい存在なのかもしれません。彼をねじ伏せてやろう、叩き壊してやろうという意識があるのかもしれませんが、それは無駄なことです。

他人に嫌われることが好き

 村本君といつも言っていることがあります。 「僕は他人に嫌われることが好きなんです」 「考えの違う人と話をするのが好きなんです」  私も同じような思考だけに気持ちがよくわかる。どんなことも最初から色眼鏡で見ることなく、偏見を持たずいつもフラットに観ているから、相手がむきになればなるほど、自分は冷静になっていく。  失礼な物言いにイラっとすることはあっても心底腹を立てることはない。それ以上に「(いいか悪いかは別にして)なるほどそういう考え方があるのか」という発見が多いからです。私と考えの違うところももちろんありますが、ちゃんと「聞く耳」を持っています。
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朝生出演の舞台裏
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漫才作家。'84年、オール阪神・巨人の台本執筆を皮切りに、漫才師や吉本新喜劇に多数の台本を提供。'90年吉本総合芸能学院(NSC)講師就任。担当した生徒は1万人を超える。著書に『吉本芸人に学ぶ生き残る力』(扶桑社刊)などがある

吉本芸人に学ぶ生き残る力

NSC講師として1万人以上の生徒を送り出した伝説の講師が教え子たちに教えた生き抜く術とは


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