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トイレが外から丸見え。雑居房ではストレス満載の「刑務所」生活

トラブルメーカーは独居房へ収容される

独居房

独居房の様子。4畳ほどの部屋に、洗面台やトイレ、小机や私物の棚などが備え付けられている。対人関係の煩わしさはないが孤独である

 独居房は文字通りのひとり部屋。3畳ほどしかないが、書き物机に私物を置く棚、洗面台やトイレもある。ほかの受刑者に気を使わずに済むが、話し相手がいないのは精神的にきつく、ともすれば孤独と退屈に押しつぶされてしまう。対人関係のトラブルとは無縁なのにもかかわらず、独居房を避ける受刑者が多い理由だ。  独居者の多くは、集団生活ではほかの受刑者に悪影響を与えるおそれがある者。たとえば同性愛者や暴力団の幹部などだ。規律違反者を取り調べたり、反省を求めたりするため懲罰(ちょうばつ)目的で収容することもある。懲罰のための収容は閉居罰(へいきょばつ)といい、その場合はラジオ放送も聴けず、読書も禁じられる。必ずしも希望通りにはならないが、勉学目的のため願い出て独居房に入る者もいる。  また、独居房のひとつに保護房というものもある。逃亡のおそれのある者、暴行・傷害・自殺・自傷のおそれがある者などが入れられる。

独居房での生活パターン

 独居房での生活には3パターンある。まず、夜間独居者。昼は工場で刑務作業を行い、夜は独居房に戻る。一定のプライバシーは欲しいし、対人トラブルはご免。でもずっとひとりきりは寂しいという人には最適かもしれない。  次に昼夜間独居者。工場での刑務作業は認められず、独居房で封筒貼りなどの軽作業を黙々と行う。集団生活に不適格な者、懲罰中の者はこのパターンとなる。運動や入浴、面会などのほかは独居房内で過ごし、室外に出る場合でも単独行動が原則だ。  最後に、他者といっさい接触厳禁なのが厳密独居者。ほかの囚人を扇動するおそれがあるボス的存在、ケンカの常習者など、保安上隔離が必要な者が該当する。夜間独居者や昼夜独居者は、入浴時などにほかの受刑者と会う機会が得られるが、厳密独居者はそれもない。 <監修/河合幹雄、イラスト/熊アート>
法社会学者。京都大学大学院にて法社会学専攻後、フランスの名門法学研究科であるパリ第2大学へ留学。その後、京都大学法学部助手を経て、現在、桐蔭横浜大学法学部教授・副学長。公益財団法人矯正協会評議員、全国篤志面接委員連盟評議員も務める。ほか、日本犯罪社会学会理事、日本法社会学会理事、日本被害者学会理事を務め、警察大学校教員、嘱託法務省刑事施設視察委員会委員長などを歴任した。著書に『日本の殺人』(ちくま新書)、『もしも刑務所に入ったら』(ワニブックス)など。
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現代 刑務所の作法

知っているようで知らない刑務所生活のリアルとは? 意外と普通、もしくはあり得ない話ばかり? その事実を詳細な解説文と分りやすいイラストで解説。
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