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刑務所の食事が“臭い飯”と呼ばれるワケ。本当に臭いのか

刑務所のご飯が臭いのは、古い米しか手に入らなかったから

食事

健康的な朝・昼・夜の食事。主食は基本麦飯で、昼は揚げ物や麺類などボリューミーなものが多い。夕食も和食が多くヘルシーな献立となっている

 刑務所の食事を指す「臭い飯」という有名な言葉がある。そして「臭い飯を食う」というフレーズは、そのまま「刑務所に入る」ことを意味している。  そもそもは受刑者の房が備え付けトイレであり、食べる際に近い距離にあるため、「臭い飯」と呼ばれるようになったと考えられている。また、戦後間もない頃は予算の関係で古い米しか手に入らなかったので、「臭い飯」になってしまったという説もある。  だが、現代の刑務所の食事は臭くはない。むしろ、質素でありながら健康面に配慮されている。主食の米は、麦と白米が3:7の割合でブレンドされた麦飯。麦を入れる理由は安価に腹をふくらませられるから、というものだ。だが、それと同時に麦飯は血糖値の上昇を緩やかにしたり、便通を整えたりする効果もある優れた健康食である。  おかずとしてはトンカツ、おでんなどのメインメニューが1品、サラダや漬物などのサイドメニューが3品程度、そして汁物がつく。

食事の予算は1日420円程度

刑務所の食事

刑務所の食事は朝・昼・夜の3回で、朝は7時10分、昼は11時40分、夜は17時10分からの30分間が食事の時間となる(※刑務所によって多少異なる)。休日の夕食は16時と早く、受刑者たちは寝る前にお腹がすいてしまうという。平日の朝食と夕食は居房で、昼食は工場の食堂で食べる。休日は3食とも部屋で食事をとる

 食事の予算は受刑者ひとりあたり1日420円程度で、豪華とはいえないが、品数もあり、受刑者によってはシャバにいるときよりも充実した食事内容になっているかもしれない。  ただし、収監された刑務所にもよるが、刑務所の食事はあまりおいしくないという意見が多い。薄味の味付けで、しかも調味料が限定されているので、何を食べても同じ味付けのものを食べているように感じるらしいのだ。 また、食事が冷えているのもまずく感じさせる原因のひとつである。  なお、主食は麦飯以外にパンの日もあり、受刑者には人気となっている。パンの日は「アマシャリ」と呼ばれるぜんざいなどの甘味のあるデザートも出るからである。
人気メニュー

受刑者たちの最大の楽しみである人気メニュー

<監修/河合幹雄、イラスト/熊アート>
法社会学者。京都大学大学院にて法社会学専攻後、フランスの名門法学研究科であるパリ第2大学へ留学。その後、京都大学法学部助手を経て、現在、桐蔭横浜大学法学部教授・副学長。公益財団法人矯正協会評議員、全国篤志面接委員連盟評議員も務める。ほか、日本犯罪社会学会理事、日本法社会学会理事、日本被害者学会理事を務め、警察大学校教員、嘱託法務省刑事施設視察委員会委員長などを歴任した。著書に『日本の殺人』(ちくま新書)、『もしも刑務所に入ったら』(ワニブックス)など。
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