更新日:2021年06月30日 19:30
ライフ

“世界一孤独”な日本のおじさんたち。「新しく友人をつくる気力はない」

中年男性が孤独に陥りやすいワケ

「業界の関係上、コロナ禍でも出社していたんですが、取引先で感染者が出てしまい、私も自宅隔離を余儀なくされました。テレワークを続けていくうちに、どんどん孤独感が大きくなりましたね」
孤独

浅井裕介さん(仮名・44歳)

 そう語るのは、機械メーカーに勤める浅井裕介さん(仮名・44歳)。高校を卒業してからは営業一筋で、社内外の人間と対面でコミュニケーションを取り合いながら仕事を進めてきた。 「会社の人間関係は良好で、コロナ流行前は頻繁に同僚や後輩たちと飲みに行っていました。しかし、自宅隔離以降は出社することはほとんどなくなり、1年近く飲み会も開催されていない。妻と2人きりの生活を続ける中で、会社以外に自分の人間関係がほとんどないことに気がつきました」  浅井さんのように「大きな孤独に悩まされる男性は多い」と前出の岡本氏は語る。 「男性というのは『会社と肩書』を喪失し『何者でもない自分』になったとき、周囲とのコミュニケーションが激減します。特にそれが顕著になるのが定年退職のタイミングです。そのとき初めて『会社への依存』に気がつくことが多い。今回のケースは、コロナ禍が定年退職後のような環境をつくり出した結果、今までにない孤独を感じたのでしょう」

男性は古くからの価値観に苦しめられている

 先述したように世界と比べて「家族以外の人」との交流がない日本人。中でも男性は古くからの価値観に苦しめられている。 「日本の男性は『寂しさは甘え』『孤独は自業自得』『弱さを明かすのは恥』というような孤独賛美の側面が諸外国に比べて強い。自分から積極的に関係性をつくることができず、孤独を感じやすい傾向があります」(岡本氏)  現在は妻との会話で孤独を紛らわせているという浅井さん。「もし妻に先立たれたら」と考え、強い不安を感じてしまうそうだ。 「正直、会社以外に気軽に連絡を取れる友達はいません。このまま孤独を感じて生きていくのは嫌ですが、この歳から新しく友人をつくる気力はないですね」
孤独

社用のものと比べて、ほとんど鳴ることがないというスマートフォン。「週に一度連絡があればいいほうですね」(浅井さん)

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弱くても心地いい人間関係を複数作ることが重要
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