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「死んだらウイスキーで浸して…」 最後の願いをかなえる “自由なお葬式” とは

書道研究家の書斎を再現

 亡くなった方の書斎を再現したお葬式もあります。  故人は小金井祭典の近所に住んでおられた書道研究家でした。  私は「お父様の書斎を式場に再現してみてはいかがですか?」とご提案したところ、喜んで受け入れてもらえました。  故人の書斎を再現する際、筆や道具類を運ぶのは私たちもお手伝いしましたが、実際に飾るのはご家族にお任せしました。預かった思い出の道具類を飾ることは簡単です。でも、私たちが飾ると、書斎を綺麗に再現はできても “その人らしさ” までは再現できません。それができるのは、ご家族だけです。 「おじいちゃんはいつも筆をこういう風に綺麗に置いていたなあ」 「あ、これはおじいちゃんのお気に入りだったね」  ご家族で故人を思い出しながら、みなで手を動かし再現していくから、悲しみや寂しさと自然に向き合えるのです。

型破りではなく、型くずし

 私は、いつもサプライズに満ちたお葬式を手がけようとしているわけではありません。スタンダードなお葬式のほうが多いのは当然ですし、そもそも葬儀社は黒子でなければなりません。主役はご家族と、おくりだされる人。そこに宗教者が加わることも多くあります。この三者の合意形成のもとで、型に沿った丁寧なおみおくりができます。  茶道でも季節によってお茶の点て方を変えるように、型をしっかりと理解してはじめて、型をくずすことができます。私の手がけるお葬式は、型破りとメディアに紹介していただくことがあります。褒めていただいているのでしょうが、私は型破りではなく、型を大切にしながらご家族ごとにオリジナリティを出す”型くずし”を心がけています。 *本稿は『日本一笑顔になれるお葬式 大切な人が亡くなる前に知っておきたい葬儀の本当のハナシ』を一部抜粋、再構成したものです。
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日本一笑顔になれるお葬式

街の葬儀屋さんが教える「心がスーッと楽になる」お葬式の作り方

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