なぜエンディングノートは3冊いるのか? お葬式のプロが教える書き方
誰にでも「そのとき」はやってくる。明日かもしれないし、20年後かもしれない。大切な家族や友人のためだけでなく、自分自身を見つめ直すことにもつながるエンディングノート。最近では新型コロナウイルスの影響で、若い人たちの間でも関心が高まっているという。
『日本一笑顔になれるお葬式』を上梓したクローバーグループ「小金井祭典」代表の是枝嗣人氏は、葬儀社「小金井祭典」などを運営するかたわら、終活相談などライフサポートにも取り組んでいる。基礎知識からNG例まで、お葬式のプロがオススメするエンディングノートの書き方を紹介する。
エンディングノートは遺言書ほどハードルが高いものではありません。お金に関することから、SNSのID・パスワードなどのデジタル遺品のことまで、幅広く書いてOKです。何度も書き換えをすることもできます。
ただ、書かれた内容は、あくまでもご家族や相続人に対する「お願い」にすぎず、法的効力がないということは覚えておきましょう。
エンディングノートには、書いておくべきポイントがいくつかあるので例を挙げていきます。
まずは、「自分史」の振り返りです。好きな食べ物や趣味などを書いていくことで、「こんなことが好きだったな」と、自分自身の新たな発見に繋がるかもしれません。
介護をする人がエンディングノートを見て、好みや趣味を把握するという使われ方もあるので、できる限り詳細に書きましょう。
次に、「資産」の項目の記載です。貯蓄・保険・年金・不動産・クルマなど、洗い出してみると、思っているよりもたくさんの資産を所有している場合があります。
もし独り身で相続人がいない場合、財産は国庫に入りますので、「日本赤十字社に300万円寄付してほしい」などと書き留めておくと、弁護士さんが入って管理してもらえる可能性があります。
預貯金の欄にキャッシュカードの暗証番号もまとめておこうと考える方もいるかもしれませんが、万が一悪用されることを考え、エンディングノートに記載するのは口座の一覧だけにとどめ、暗証番号や銀行印は別途保管しておくほうがよいでしょう。
忘れてはならないのが「負債」について記しておくことです。
借金は恥ずかしいという思いから、家族には内緒にしておきたいという人は少なくありません。しかし、相続放棄ができるのは相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。残された方が苦労しないように、借金の額も正直に記しておきましょう。
「葬儀」に関する事柄も必須の記載事項です。最近では、葬儀社と生前契約をするケースが増えています。ですが、この契約が共有されていないまま、「そのとき」が訪れてしまった場合には、家族が戸惑ってしまうことも。生前契約をしていない場合は、葬儀や喪主の希望を残しておけば、お葬式がスムーズに行えます。
また、葬儀に参列してほしい方々のリストを残しておくと、漏れなく訃報を届けることができます。小規模のお葬式を希望される場合は、誰を呼ぶか呼ばないかを明確にしておきたいです。その後、先祖代々の墓に入るか、新しくお墓を購入してほしいのか、散骨を希望するのかなど、墓地選びや費用に関することも併せて記載しましょう。
エンディングノートはあくまでも「お願い」
内緒にしておきたい借金も書くべし
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