スポーツ

サッカー日本代表は“変わりばえ”しない顔ぶれ?最終予選直前に考察してみた

期待の田中碧は招集されず

 しかし、それは日本代表も同じで、森保監督は東京五輪世代の選手で選ばれてもおかしくなかった選手がいることを認め、本人のコンディションや所属クラブの事情で招集を見送ったことを明かした。その選手は今季ドイツへ移籍した田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)と言われており、10月以降に招集されることが期待されている。  今後のA代表入りが期待される田中碧のポジションには、2020年11月以来およそ10か月ぶりに招集された柴崎岳が注目されている。「待ってました」「うれしい」「活躍を期待」といった肯定的な意見も聞こえるが、「今さら」「大丈夫か?」「田中碧の代わり」といった不安視する投稿もあり、賛否両論が渦巻く招集となった。  森保監督は所属クラブの事情やケガなどによるコンディション不良があって、これまでの招集を見送っていたことを告げ、「勝利に導いてくれるよう攻守に貢献してもらいたいと思っています。彼はロシアのワールドカップでもチームの中心として戦っていました。世界で戦うために必要なこと、そして我々が世界で勝っていくために、やらなければいけない基準というものも把握してくれてると思っています。そういった意味でも目の前の試合に勝つ貢献をしてもらいながらも、高い基準を持ってチームを引っ張っていってもらえるようにプレーしてもらいたい」と期待の高さを裏付けるコメントをした。  その柴崎岳をはじめとしたボランチの選手には、その他に遠藤航、守田英正、板倉滉の3人が選ばれている。DFとして選ばれた中山雄太もボランチでのプレーが可能で、今回見送りとなった田中碧も含めるとポジション争いの厳しいことがうかがえる。アジア2次予選などの実績を踏まえた現段階の格付けは、ボール奪取率の高い遠藤航がファーストチョイスとなり、そのバックアッパーがセンターバック(CB)も担える板倉滉と考えられている。柴崎岳はゲームの組み立てなど攻撃的な役割を担うもうひとつのボランチの枠を争うことになるが、直近の実績でいえばサイドバック(SB)もできる守田英正のほうが評価は高い。そして、今後はその枠に田中碧が入ってくるので、柴崎岳にとってはワールドカップ出場を懸けたサバイバル戦が早くも展開された状況と言えるだろう。

長友佑都は無所属でも異例の代表選出

 柴崎岳の他に話題となっているのが、いまだに所属先が決まっていない長友佑都についてだ。この招集に関して森保監督は、「彼の今の活動が一般的には不透明なところはあると思いますし、コンディションもみなさんにわからないところはあるかもしれないですけど、我々は常に連絡を取りながら彼の所属先がどう決まっていくかもある程度の道筋を聞いてますし、彼の今のコンディション状態というものも把握して招集に繋げています」と補足し、試合が行われる9月までには新たな所属クラブが決まっており、心配の必要がないと述べている。  それでも無所属の状態での招集は非常に稀である。その理由は明確で、左SBを担える人材に枯渇してるからだ。その他に左SBとして佐々木翔が選出されているが、長友佑都に比べるとレベルが低下してしまうことは否めない現状。そこで期待されるのが、中山雄太である。東京五輪で本来のボランチでなく左SBとして頭角を現し、それを評価されて今回は招集された。同様に旗手怜央(川崎)もA代表候補に含まれているだろうが、負傷もあって今回は選出されなかった。いずれにしても中山雄太にとって今回の招集はチャンスであり、不動の左SBと言われる長友佑都の存在を脅かす成長を期待したい。
次のページ
大迫の“後継者問題”は継続
1
2
3
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
記事一覧へ
おすすめ記事