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俳優・大橋彰としてのアキラ100%。監督は「芸人と知らずに」配役

遅咲きの苦労人から滲む、哀愁漂う確かな演技力

アキラ100%

©ゴールデンツリー/「達人 THE MASTER」製作チーム

 メインキャストは大橋と2人の女優陣。セリフのほとんどは、舞台となった一軒の屋敷のなかで交わされるため、3人の心の機微を追うには、俳優の確かな演技力が求められる。 「撮影は鎌倉の屋敷を借り上げて行ったのですが、監督が車で現場に向かう通り道に僕が住んでいたので、毎日ピックアップしてもらって……。監督とは車中や現場で役作りについてよく話し合いながら撮影を進めました」

「悔しいな、うまくいかないなと、人生に迷う時期が長かった」

 30歳でお笑いの道に進むまでは俳優志望だったというだけあり、初の大役も力みなく演じ切っている。全編を通してスクリーン越しで記憶に残るのは、ピン芸人として陽気にお盆芸を披露する姿からは想像できない大橋のシリアスな佇まいだ。 「僕はなかなか売れなくて、悔しいな、うまくいかないなと、人生に迷う時期が長かった。ですから演じているときに、オジサンの哀愁みたいなところが自然と溢れ出していたのかもしれません。芸人のときと素に近い俳優のときではギャップがあるので、観にきてくれたお客さんには、その振り幅を楽しんでいただけたら」  あくまで軸足は芸人に置くというアキラ100%だが、俳優・大橋彰としての活躍もますます期待される。 『達人 THE MASTER』 監督・原案/横尾初喜 出演/大橋 彰(アキラ100%) 安倍萌生 宮本真希 配給/SDP 9月10日(金)公開 記憶を失った謎の男(大橋)が、静子(安倍)が住む屋敷の前に倒れている。記憶を取り戻す手伝いをする静子は、次第に男との距離を縮めていくのだが…… 【大橋 彰/アキラ100%】 お笑い芸人、俳優。’74年生まれ、埼玉県出身。’17年、ピン芸日本一を決定する「R-1ぐらんぷり2017」で優勝を果たす。最近はドラマや映画にも出演し、俳優としても活動を始めている 取材・文/池田 潮 撮影/浅野将司
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