仕事

飲食店から独立失敗、アルバイトとして出戻りしたら「ストレス3倍」

アルバイトとして飲食業界に出戻り

おしぼり「飲食店では長く働いていたので、比較的早めに決まりました。最初はアルバイトとしての契約でスタートしました」  しかし、そこからが苦悩の始まりだった。 「バイトの店員としては、年齢的に決して若いとはいえません。まわりに馴染むことができないという問題にぶつかりました。ストレスは今までの3倍。思っていたよりも働きにくい環境で苦悩の連続でした。とはいえ、コロナ禍で働き口があるだけでもありがたいことなので、耐えていました」  若いアルバイトたちの陰口がきっかけで辞めることになる。 「彼らが『なんであの年齢でバイトしているんだろう』『あの人よりも俺たちをシフトに入れてほしい』と話しているのを聞いてしまいました。まあ、そう見られるよなと思いました。そこで、何かの糸が切れてしまったのかもしれません」  正社員のゼネラルマネージャーまで経験した人間が、いちアルバイトという立場に戻る。野中さんはプライドを捨て切れなかった。そして数日後、退職を伝えることに。 「現在は、ECサイトを続けながら、新しい仕事を探しています。なんとか生活はできますが、地元に帰ることも視野に入れています」  コロナ禍で状況が絶えず変化していくなかで、転職や独立をすることがいかに難しいことなのか。野中さんは身をもって知ったという。

待遇に不満、8年間働いても新人と同じ時給

筋トレ 一方、スポーツジムでインストラクターをしていた田中みえこさん(仮名・20代)はコロナ転職を「良い機会だった」と振り返る。 「パートでしたが、8年と長く勤めていました。昇給はなく新人のインストラクターと同じ時給。それでも倍以上の仕事量がある。毎日のレッスンのことで頭がいっぱいでした。  また、プールレッスンなどの水着は自腹。有給休暇もなく、雇用保険にも加入していない状態。最悪な待遇のなか、改善してほしいことをずっと訴えていました。しかし、要望が通ることはありませんでした」  自分のキャリアに対する待遇に不満を抱え、もはや心身ともに悲鳴を上げていた。正社員は次々と辞めていき、田中さんはパートのエースとして忙しい日々が続く。そんななか、新型コロナが猛威をふるう。
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コロナ禍が「辞めたい」気持ちを後押し
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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