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コロナ転職先がブラックだった。それでも「前職よりマシ」と思えるワケ

 コロナ不況に伴い転職する人が増えている。今まさに転職を考えているものの、二の足を踏んでいる人も多いだろう。実際に転職した人たちは、その後をどう過ごしているのだろうか。  まったく違う職種へ転身した元アパレル店員に“コロナ転職”のリアルを聞いたところ、アパレル系ブラック企業の闇まで見えてきた——。

ファッションの衰退で即日解雇に

アパレル

写真はフォトACより。以下同

 昨年話題となった、レディースブランド『CECIL McBEE(セシルマクビー)』の店舗事業撤退。平成のギャル文化を支えたブランドの衰退に、多くの人が衝撃を受けた。オンワードホールディングス、ワールド、レナウンといった総合アパレル大手の百貨店からの撤退も続き、アパレル業界は苦境に立たされている。  不況の背景にあるのは、長引く外出自粛やリモートワークの普及による、衣料品の需要低下・購買欲の消失だ。    元ベテラン販売員の透子さん(30代・仮名)は、長年勤めたアパレル業界を去り、コロナ禍で広告代理店の事務員に転職した。思いきって異業種へと移った理由は、不況だけではない。  話はコロナ前の2019年までさかのぼる。 「一昨年の5月まで、モード系のブランドで働いていました。でもある日出勤すると、会社が倒産していたんです。業績が悪化しているとは聞いていましたが……。スタッフ全員、その場で解雇です。店舗の撤退作業をしながら泣きそうになったのを覚えています」  突然仕事を失った透子さん。足を運んだハローワークでは職業訓練を勧められたものの、焦りや不安から転職活動を選んだという。 「今思えば、職業訓練を選んでおけばよかったんですが……急に仕事が無くなったから、『働かなきゃ!』って気持ちが強かったんですよね。転職先も販売職で探しました。ただ実は、前にも勤めていたブランドの倒産を経験しているんです。その時もモード系のお店で。二度も同じことを味わい、『モードはもう流行らないんだな』と悟りました」  次は大きめの会社で、簡単に倒産しないブランドにしよう——。そう決意した透子さんは、解雇から3ヵ月後、高級婦人服の店に転職を決めた。自分の好みではなかったが、流行に左右されないデザインの服で、ここならば大丈夫だろうと思ったそうだ。しかし、この会社こそが透子さんの「販売員離れ」を後押ししてしまう。

転職先は体育会系のブラック企業

アパレル「入社してすぐ『すっげークソな会社に入ってしまった』と後悔しました(笑)。中小企業の悪いところを煮詰めた感じで、ノリが体育会系。残業代も出ないどころか、そもそも残業代という概念が無い。典型的なブラック企業だったんです」  朝10時半から夜19時半までと知らされていた就労時間。しかし実際に働きだすと、始業30分前からの掃除・朝礼への参加が義務付けられていた。閉店作業は勤務時間に入っておらず、退社はいつも20時過ぎ。前の職場ではゆとりある働き方ができていた分、透子さんの疲労やストレスは溜まっていく一方だった。 「高価格の服を売っているのに、バックヤードが汚くて商品管理がずさんだったり、上司の指示や同僚の働き方に合理性が無かったり。不満を挙げるとキリがありません。それでも『転職続きでは印象が悪い』と耐えていましたが……コロナがきっかけで、会社の時代遅れな対応を見てしまったんです」
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コロナ禍でも「ノーマスク接客」
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