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東大医学部→生活保護を受ける20代男性。増える若い受給者のホンネ

就活時、生活保護への偏見も

 高橋さんは精神疾患の診断書も持っていたため当初は「精神自立支援」の相談をしに行ったが、そのためには親のマイナンバーが必要だと知った。親子関係が破綻していると告げるとその場で生活保護を積極的に提案され、すぐに福祉課に繋いでもらえたという。 「『え、25歳!?』という声が奥から聞こえてきましたが(笑)、円滑に進み10日後に申請が下りました」  現在は月に約13万円を受給しながら再就職を目指しているという。 「生活の心配がなくなった分、求職活動に集中できて本当に助かりました。なので引け目は感じていませんが、面接時に生活保護について言うと相手が引いていることがよくあるのが悩みです

生活保護は生存手段のひとつ

 山田淳一さん(仮名・34歳)もまた、コロナ禍直後に受給した。専門学校を卒業後、地元でSEとして就職したがサボりぐせがあり、仕事や居住地を転々とした。そのうち体調を崩し、体重は100kg以上まで増加。やがてまともに歩けなくなり、受給を思い立った。
生活保護

山田さん(仮名)の部屋は基本的に荒れ気味。メディアで老後2000万円問題を目にしてからは貯金をするようになったが、すべてタンス貯金だという

 しかし当時、ブログのアフィリエイト収入が月に2万円程度あったため却下。そこで、某政党団体の職員と一緒に再申請に行ったらあっさり認定された。その後、党の機関紙を購入させられ党員に勧誘もされているというが、生活は気まま。早朝に寝て昼に起き、アフィリエイトをしてサブスクの動画を観るのが日課だとか。  受給額は月11万円程で、「アフィ収入が受給額から引かれるのはおかしい。ネット代も家賃光熱費と同様に含んでほしい」と主張する山田さん。脱却の意思は今のところないという。 「親に知られて非難されたときに、世間の印象が良くないことを初めて知りました。けど受給していなければ死んでいたと思うし……」  生活保護は「恥ずべきこと」ではなく生存手段のひとつとして活用するもの。若き生活保護受給者たちの姿は、そんな旧世代からの意識の変遷を物語っているようだ。
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生活保護を巡る若年層の意識の変化とは?
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