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東大医学部→生活保護を受ける20代男性。増える若い受給者のホンネ

生活保護を巡る若年層の意識の変化とは?

「コロナ禍以降、20~30代の失業者からの生活保護相談が急増した」と話すのは、貧困問題に詳しいライターの吉川ばんび氏@bambi_yoshikawa)。その理由を、次のように分析する。 「コロナ禍による困窮はもちろんですが、2000年代はネオリベラリズムによる自己責任論、実力至上主義が持てはやされた一方、貧困や格差は自己責任では解決不可能な構造的問題であることが周知されてきたのでしょう。また、身内に言えなかった事柄をSNSで知らない人に相談しやすくなり、情報共有が進んだのも一因だと思います」
生活保護

フリーライター・吉川ばんび氏

 また蓄えが少ないまま傷病が原因で失業した場合の回復期間としても、「若者の生活保護受給は合理的である」と吉川氏は話す。  とはいえ、それまで自身が生活保護とは無縁と思っていただけに、適切なサポートを受けられていない人がほとんどだと指摘する。

「水際作戦」は若い人が標的になりやすい

 生活支援団体「POSSE」の今岡直之氏@now_hill)は「当団体だけでも、20代からの相談が昨年比で5%増加しました」と話す。 「これまでは50代が16%と最多で20代は10%程度。さらに去年は傷病による相談が主体でしたが、今はコロナ禍による失業や休業原因が半分以上。皆当初は生活困窮者自立支援金や特例貸付を希望しますが、どれも期限付きのため生活保護に移行する例がほとんどです
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社会福祉士・今岡直之氏

 そして若い世代も生活保護への偏見を完全に払しょくしきれてはいないが、旧世代にはない特徴がもうひとつあるという。 「今の若者は『親ガチャ』という言葉に象徴されるように親子関係を割り切る風潮が強く、生活保護を虐待親からの避難手段として選ぶ傾向があります。これが、上の世代との大きな違いと言えます」  しかし行政の「水際作戦」はまだ横行しており、若い人が標的になりやすい現状があるという。若年受給者の増加を機に、生活保護への知識が歪められることなく、正しく伝わることを願いたい。 <取材・文・撮影/栗田シメイ 和場まさみ 安宿 緑> 【吉川ばんび】 フリーライター・1991年生まれ。自らの体験をもとに、貧困、格差問題などを執筆。著書に『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声』(扶桑社刊) 【今岡直之】 社会福祉士・1988年生まれ。沖縄大学地域研究所特別研究員。主に若者の生活、労働、奨学金申請支援を行うNPO法人POSSEで生活相談を担当 ※bizSPA!フレッシュより
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