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ぶら下がり中年社員は不要。35歳以上のミドル転職、人事はぶっちゃけこう見る

流動化が進むシニアと若者層の狭間で身動きがとれない中年たち

 シニアの就労支援などにも注力している原氏だが、今年の敬老の日(9月20日)にあわせて総務省が発表した統計では、シニア(65歳以上)の就業率は過去最高の状態。  シニアと若者層の両面で流動化が進んでいるのに対し、ミドル世代はその狭間でさまざまな葛藤を抱えている。 「人生100年で先を見たらアクティブに動いた方がいい半面、20代に比べれば給料も上がって、若い頃から築き上げてきた実績が社内でようやく実り、さらに上のステージの仕事ができる可能性もある。結婚や出産、マイホームの購入など、ライフステージとしても出費が増える時期なので、多くの人が慎重にならなきゃいけない年齢だとも思います」

職場で中途に対しては厳しい目「大前提としてメンタルタフネスが必要」

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原氏いわく「中途の人間に対しては『この人は、うちの会社で本当に通用するのか?』と実力の部分を見られがち」

「将来的に定年が70歳になって、大企業を中心とする企業が競争力を失わない意味でも、若い人にポストを譲る意味でも、高コスト体質の中年社員には、出ていくべき人は出ていってほしいのが本音。企業では役職定年の導入や役割再設定などの研修もすごく増えています」  急速にAIやIT化が進むなかで、中年社員の価値とは何なのか。ミドル転職のポイントとしてよく挙げられるのが、「マネジメント経験の有無」。しかし実際のところは……。 「それ以前に、ミドル転職の注意点としてはスタンスの問題があります。転職した直後は、大概の場合は苦しくて、ポジティブシンキングじゃないとつらいですね。  新卒のときは周りも可愛がってくれるけど、中途の人間に対しては『この人は、うちの会社で本当に通用するのか?』と実力の部分を見られがちです。  大前提としてメンタルタフネス。より本質的な意味では自分の強みを理解し、成果を出せることが大切です。そこに耐性がないと、転職先を早期離職するという結果につながりやすい」  新しい職場での人間関係もあるなかで、ポジティブな思考で踏ん張り、実績を残していけなければ、ミドル以降の転職には厳しい現実が待っているのだ。 「企業側の人事コンサルティングをするなかで、新卒よりもむしろ中途ほどしっかり入社後にフォローする仕組み(オン・ボーディング)をつくらないと定着・活躍につながらないという話をよくします。  とはいえ、現場の社員にとっては“新しいライバル”が入ってきたという側面もある。終身雇用を前提とした昔ながらの日本型、いわゆるメンバーシップ型の企業だと、特に色眼鏡で見られやすいんですね」
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転職前にやるべきこと
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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